お金の知識を高めるコラム

Vol.45 香港の評価

香港にいると、このところ「中国が香港を乗っ取ってしまうのか」「香港は中国本土と同じになってしまうのか?」などとよく質問されます。

 

これらの質問に対する私の答えは非常に明確です。政治的な側面では、香港は中国の一部と認めざるを得ませんが、香港の住民は、中国本土の市民には許されていない多くの権利を与えられています。香港からの出入りの自由、通信する自由、資金を無制限に出し入れする自由、ビジネスをする自由など、中国本土では可能でないことの多くが許されています。

 

香港では、言論の自由は死んでしまったと批判する人たちもいます。確かに、国家安全維持法は、言論の自由の一部を侵食したかもしれません。言論の自由を謳歌していた人たちは、中国共産党に政治的な言説を制限されたり、共産党に気を遣ったりすることに、いらだちを覚えるかもしれません。しかし、中国本土とは異なり、香港では引き続きフェイスブックやグーグルも使えますし、ネットフリックスで映画やドラマを自由に見ることができます。本土より自由を求めている中国人にとっては、香港は今でも中国では言えないことや聞こえないことを話したり聞いたりできる場所であるということは事実です。中国本土の人々からすれば、香港は本土ではないのです。

 

極端な反応の例が、米シンクタンク・ヘリテージ財団の「経済自由度ランキング」です。これは、自由貿易や関税、労働規制などを指標にした世界各国・地域の格付けです。2019年まで香港は25年連続で1位を維持してきました。しかし先日発表された2021年版では、香港は初めてランク外に転落しました。財団は理由について「中国政府の許可なしに政策決定を下すことができなくなっている」と説明しました。米国の対中国での厳しい見方を反映しています。しかし、このランキングで中国は107位でした。中国本土より自由であることが間違いない香港が、中国よりも下位と評価されるどころか、圏外とは、なんとおかしなことでしょう?

 

まさに、木を見て森を見ずではないでしょうか? 正しい評価とは本当に難しいものです。

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    長谷川 建一

    国際投資ストラテジスト

    シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

    著書
    ブログ: HASEKEN
    寄稿中

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