コラム お金の知識を高めるコラム Vol.6 金融商品を理解していますか?「債券」について考えてみましょう(前編)

お金の知識を高めるコラム

Vol.6 金融商品を理解していますか?「債券」について考えてみましょう(前編)

 前回は「株式」について触れましたが、みなさんは「債券」についての知識はお持ちでしょうか?

 

 「債券」とは、お金を借り入れるときに発行される証券です。債券を持つ(購入)者が、債券を発行する者(会社や国など)にお金を貸し付けていることになります。ひらたく言うと「借金の証文」です。一般的な「債券」は、発行する時に償還期限や利率が定められていて、購入者は、その条件に従って利息(利金)を定められた日に受け取ることができるほか、償還期限を迎えると、元金である債券の発行時の金額(額面額)の償還(支払い)を受け取ることが出来ます。例えば、5年後の2022年12月20日を償還期限として、年に二回5.00%の利率を条件に発行された債券は、額面が100万円であれば、償還されるまで毎年6月20日と12月20日に2.50%に相当する2万5千円を受け取り、償還日に元本である100万円が戻ってくるということになります。

 

 このように「債券」は、将来入ってくるお金の見当がつきますから、利率が魅力的であれば、安定的な運用を目的に購入して運用手段として使うことが出来ます。「株式」よりも見通しが良いので、実は資産運用の世界では圧倒的に債券での運用規模が大きいのが実態です。ですから安定的な運用ポートフォリオの構築には無くてはならない存在なのですが、日本人には馴染みが薄い、というのが現状です。

 

 債券は、先ほども述べたとおり借金の証文ですから、お金を借り入れた債券の発行体が夜逃げをしてしまうと、利金は支払われず、元本も償還されません。つまり、発行体のクレジットリスクがあるのです。利率とリスクのバランスを考えて投資する必要があります。「信用格付け」という言葉を聞かれたことはありますか?専門格付け業者が、発行体である会社や国の財務状況をチェックして、それぞれに格付けをつけているのです。ちなみに最上格の格付けを「AAA」で表すなどしていて、投資家はその格付けを投資判断の際の参考にしています。一般的に、年金の運用をする基金や保険会社などの機関投資家は「BBB」までの格付けを持った発行体の債券しか買いません。格付け「BBB」未満はリスクが大きすぎるということです。「BBB」格以上の債券は投資適格債券、「BB」格以下の債券はハイイールド債と呼ばれて区別されます。両者の間には、利回りの差がかなりある事も知っておきましょう。

 

(1月号に続く)

長谷川 建一

国際投資ストラテジスト

シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

著書
ブログ: HASEKEN
寄稿中

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