連載初回に「タイにはきれいなおカマさんが多い」ことを取り上げましたら、「タイも韓国同様、美容整形には前向きよ」との情報を頂きました。美容整形はことに日本では根強い偏見があるようです。確かに本人の思惑と結果とのバランスが均衡するとは必ずしも言えない側面もありますが、メイクの延長上「美しくなる努力をする」ことの一環であります。
若かりし頃、よく男性は今カノに「今だって十分にキレイなんだから、お化粧なんかする必要ないよ」と言いました。「化粧しないで」の本音は今カノが美しくなって他の男性にモテるのがイヤなのです。
「ありのままの自然が尊い」と言われるのは、現代文明によって生態系が破壊され、人間も含まれる生き物の生存が危機にさらされてからです。文明を否定して原始の弱肉強食状態に戻ることではありません。人類は多くの愚行を繰り返してきましたが、愚かであることを肯定してきた訳ではありません。他者に対して優しく、自らが美しいと思う行いを、より善きことして実践してきたはずです。
文明とは人権の尊重です。美しさや清潔感を表現したいことは人間の願望であり、人間の知恵と努力を注ぐ対象であって不足ありません。自らの人権を維持する第一歩は、他者からの強制ではなく自分で意思決定することです。化粧するしない、結婚するしない、あなたの人生の意思決定は、譲ることのできないあなただけの専権事項なのです。
DNAは変えられず、万有引力の法則に抗えません。けれど美容医療の進化でささやかに抵抗ができるのなら、恩恵にあずかっても後ろめたいことはありません。リスクについてよく諒解し、良質な情報を収集して、より美しくなることに賭けましょう! 知的でセンシュアルな人生の選択肢。指を咥えて傍観するだけでは何も変わりません。むろんナチュラルなポリシー貫徹の意思決定も尊重いたします。自らの身体の管理を自由に選択できる世の中を成熟社会と言うのです。