最近の新聞によれば、EUのサマータイムは来年限りとなるそうです。制度を始めたのは1916年の第1次大戦の戦争中のドイツ。明るい時間を活用してエネルギーを節約することが目的でした。第2次大戦後に復活したときは「外に出て余暇を楽しみ健康になろう」に変わりました。今度は先頭に立ってのサマータイム廃止を訴えています。今年実施されたEU市民への調査では、サマータイム廃止賛成が84%、最大の理由が「健康への障害」です。ドイツの市民たちによると、10月末の冬時間切り替えまでの7か月間ずっと睡眠不足なのだそうです。「そこまで苦しいのか?」と私は思います。3年ほど前にドイツで行われた「あなたにとって大切と思うもの調査(複数回答)」によれば、(1)時間厳守90% (2)子ども73% (3)セックス68% (4)クリスマス67%─ という結果でした。「そうだったのか」と私は納得しました。そんな感性だったらストレスになるのも当然です。
フランス市民だったらどうでしょう。 (1)アムール(愛) (2)セックス (3)子ども (4)クリスマス─ かしら。時間厳守なんてどこにも出てこないと思います。随分フランスに汚染されてきましたから、私にはわかります。ともあれ、フランスに(3)と(4)の季節が巡ってきました─ (1)と(2)は年中季節お構いなしです。パリのクリスマスは艶やかでありつつも面倒くさいものです。祝祭の日々は多くは実家に集合となります。少子化を克服したフランスのファミリーは大家族、飲みかつ食べ、歌い踊って明け暮れたら、ダイエットの効果は雲散霧消します。頭を悩ませるのはプレゼント。個性は十人十色で去年と同じものはセンスがない、財布の心配の前に自分のアタマの乏しさが恨めしくなります。
さてフランスでは「お姑さん」や「お舅さん」をどう表現するでしょう? 答えはベルメールとボゥペール、意味は美しい母とハンサムな父!?
キラリと光るフランス外交の片鱗かもしれません。「うちのベルメールがね」と口を切ったら、その後に悪口は出しにくいもの。まぁ、フランスはセンシュアリティを貫く文化の国、抵抗のあるものでも飾り立てておけば、それなりに美しく変化してうまくまとまります。
それが大人の知恵です。ちゃんとした大人の知恵を働かせたら、世界はもっとエレガントな世の中になると思いますけどね。