コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング [新連載] Vol. 1 なぜタイには綺麗なおカマさんが多いのか
はじめまして、サワディーカー。美の錬金術師、Dr. MANAです。錬金術は古代から近世までの膨大な研究努力の果てに、イミテーションからリアルゴールドをつくりだせませんでした。しかし、わが美の錬金術では“美しさの本質”をすでに究明しています。それは何かについては今後お話ししていきます。
私は初々しさを尊ぶ日本で生まれ育ち、成熟した大人の国フランスで20年間、貫禄十分のパリマダムたちを観察してきました。美しさは個人の天性だけでなく、風土からもたらされるものが多いものです。フランスには芸術にまで高められた装飾や料理の文化風土があります。日本には繊細な歴史文化のバックに、森羅万象を崇める四季あざやかな自然風土があります。
縁あって「東洋のパリ」といわれるプノンペンで暮らすようになって気づいたことは、アジアモンスーン帯域の温暖湿潤は美容にとって最適の環境を用意しているということです。微笑みの国“Amazing Thailand”がその例外であるはずもありません。
そこで「なぜタイには綺麗なおカマさんが多いのか」を考えてみました。兵役あるいは出家からの回避だとか、ビニール製品多用による環境ホルモンの話は聞きました。これらは日本の浮世絵やフランスの艶笑咄のような科学性のない説と切捨てられます。
私は「自分の思いどおりに好きに生きていい」という社会、仏教の持つ寛容さの影響が一番ではないかと思うのです。生まれ持っての性を甘受するのではなく、自分の選択として「美しくありたい」との決意が「男らしく」を凌駕したのです。彼らはゲイというより性移動(gender transfer)と言うべきなのでしょう。
その先には美しさの前提としての性が必須とされない時代が見えてきます。美のスタンダードも時流と共に変わっていきます。美的自然環境に恵まれたこの地で、これからの美しさをご一緒に考えていきたいと思っています。
Dr. MANA(岩本 麻奈)
一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)