前編ではタイの洞窟の奇跡的かつ感動的な少年救出劇と日本で起きた痛ましい女児虐待死事件について、さらにそれで喚起された動物の子殺しの習性についても触れました。今回はそのつづきです。
「男らしくしなさい」「女らしくしなさい」と言われたことがありました。その言葉の根底にあるのは、この動物的なオスとメスの本能的衝動から演繹されるものです。「男はみんなオオカミだ」と教わりました。危ないものは敬して遠ざけるに限るのです。おしとやかだったら大丈夫でしょうか、オテンバだったら襲われるとでも言うのでしょうか。
男は外で働き、女は家で内助の功をする定めなのでしょうか? 40歳代までの夫婦共働き率が70%を超えている今、噴飯ものでしかありません。ナントカ流礼法指南の先生方は考えが古いというよりも、人間と畜生の違いが理解できていないのです。
男らしさや女らしさは、時に人の命を見殺しするかもしれません。タイの少年たちに命を救ったのは、そうした自分やその小さなコミュニティ利益の固執ではありません。大らかな命への信頼です。若い命への無限の愛と信頼が「子どもたちの命」に無条件に反応したんだと思います。人間という種の保存本能というのは簡単ですが、そこには人間愛があります。男も女もありません、人間は動物とは違います。人間が人間であること、それが人間らしさです。
私は映画のエンディングを夢に見ます。「少年たちが救われた!」、洞窟の近くの家々で歓声が上がります。真っ暗い夜の闇に灯りがともりはじめ、それは見る間にタイの国土全部を明るくしました。すると、喜びはどんどん伝播されていき、アジア諸国に幾千万の灯りがともり、大陸も海もイルミネーションが煌めきわたり、やがて青い地球全体をカーニバルのように、浮き浮きと宇宙をただよっていくのです。喜びの交歓です。おめでとう! コングラチュレーションズ! ブラボー! เป็นสิ่งท่ดี!ี 本当によかった! みんな、ありがとう!