コラム タイ野菜でべジフルライフ 第49回 パクチーファラン

タイ野菜でべジフルライフ

第49回 パクチーファラン

オオバコウサイ(大葉香菜)
Long Coriander Sawtooth Coriander
ผักชีฝรั่ง(パクチーファラン)

先月号の特集は、お役にたてましたでしょうか? これまでたくさん紹介してきたつもりでしたが、マニアックな野菜も多かったようで、「なんでまだ紹介してないの?」と思う野菜がたくさんありました。毎月〆切にヒーヒー言っておりますが、連載100回をめざしてがんばりますので、ご意見やリクエストなどを下記までお願いします。

 

さて、野菜のネーミングは、似たものの名前を拝 借することがよくあります。正式な名称ではなく、場合によってはスーパーが勝手に命名することもあります。緑が濃くて栄養がある葉野菜は、○○Spinach とよく名付けられています。Chinese Spinach や Thai Spinach というと主にパッコム(ヒユナ)のことですが、パックブン(クウシンサイ)やパックパラン(ツルムラサキ)もそう表記されていました。パックパランは、Indian Spinach や Ceylon Spinach とも呼ばれるので、消費者は混乱してしまいますね。日本語も英語に準じることが多いので、やはり混乱してしまいます。できるだけタイ語で覚えるといいでしょう。

 

同じように Coriander やパクチーという名もニオイが強烈なハーブ系野菜によくつけられます。前回紹介したパクチーラオ(ディル)もそうですが、パクチーファランというのもあります。ファランというと西洋的な洗練されたイメージなので、私はよく西洋料理で使われるパクチーラオと混乱しておりました。今回は、このパクチーファランを紹介します。他にもベトナムコリアンダーなどいろいろありますが、それはマニアックに走り過ぎになりますので、また折をみて紹介します。

 

熱帯アメリカ原産のセリ科のハーブです。パクチーの香りにそっくりですが、こちらの方が好きという人も多いようです。 タイには、外国から入ってきたので「ファラン」と名付けられたようですが、世界中にいろいろな呼び名があります。英語に準じて日本語でもノコギリコリアンダー、トゲハ(棘葉)コリアンダー、オオバコエンドロ、時にはタイパセリと呼ばれることもあります。英語では、Stinkweed(臭い葉)なんて呼び方もありますが、それはちょっと気の毒ですね。もっともパクチーが嫌いな人は、ズバリ、いい名だと思うかもしれません。棘葉とかノコギリという名は、成長すると実感するらしく、枯れるに従い棘が固く鋭くなるそうです。栄養的には、βカロテンが豊富で、伝統医学では、発熱、高血圧、便秘、発作、喘息、腹痛などに用いられてきました。

 

香りがそっくりですから、パクチーと同じように利用できます。タイ料理では、トムヤムやトムカーガイなどのスープ、ラープやヤムによく利用されます。葉がかたく繊維質ですので、細かく切った方がいいようです。タイ料理以外でおすすめは、チヂミやオムレツ、餃子など。正体を明かさずに食べてもらうと、ハマる人が結構います。本当に好きな人は、酢味噌やいろいろなディップにつけて食べるだけでおいしいといいます。西洋では、マリネに利用されています。

 

保存は、コップなどに水をいれて差して置くか、濡らしたキッチンペーパーで根元を包んでタッパーなどで密閉して冷蔵します。名前がたくさんあるというのは、実は存在が薄いせいでもあります。もっとたくさん利用してメジャー入りさせてあげたいですね。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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