コラム タイ野菜でべジフルライフ 第35回 イチゴ(ストロベリー)

タイ野菜でべジフルライフ

第35回 イチゴ(ストロベリー)

イチゴ
Strawberry

今月は、タイの野菜ではありませんが、タイにもっと普及しますようにという願いを込めて、イチゴを紹介します。土地の伝統の野菜をしっかり食べることも大事ですが、本来の原産野菜というのはそもそも限られているものです。たとえば、日本原産と言われる野菜は、ワサビ、セリ、ウド、ヤマノイモ、フキ、ミョウガなど約20種ほどしかありません。ダイコンもハクサイもネギやショウガも海外から伝わりました。タイ料理には欠かせないパクチーもニンニクもトウガラシもマナオも、アユタヤ時代から積極的に外交して伝わって来たものです。いつの時代もニューフェースの野菜が登場し、それを受け入れる寛容さがあったからこそ、今の豊かな食文化ができあがったと言えます。野菜が持つパワーと土地のパワーが結びつき、その時代の人たちの工夫があって根づいてきたのです。そうした野菜がたどった歴史、先人の苦労に思いを馳せて、感謝しながら食を楽しむのもいいと思いませんか?

 

イチゴは、暑いタイでの栽培は難しいとされてきましたが、タイ産もどんどん生産量が増えおいしくなっています。今、タイにいる方は、まさにタイにおけるイチゴの歴史の目撃者と言えるかもしれません。栃木県をイチゴ王国にたらしめたとも言える日本人の専門家がロイヤルプロジェクトに招かれて技術指導を行い、さらにタイにあったイチゴの品種改良に励んでおられます。ロイヤルクイーンという品種は本当に甘くておいしいですよ。まだ開発さればかりで入手が難しいですが、ぜひ、この時期が旬のタイ産イチゴを積極的に食べて、タイのイチゴ農家を応援してください!

 

南アメリカが原産のバラ科の多年草です。誰が分類するかによって野菜だったり果物だったりしますが、野菜ソムリエの授業では、「果実的野菜」として習いました。日本には、江戸時代後期にオランダから伝わりましたが、赤い色が血の色のようだと、当初はあまり好まれなかったそうです。明治にフランスから伝わったものが普及しました。歴史を見ると驚くことがあるものですね。

 

栄養的には、ビタミンCがレモンより豊富で、5~10粒食べれば、1日に必要な量を十分に満たすことができるといわれます。また、整腸作用のある食物繊維のペクチンや虫歯予防効果のあるキシリトールなども含まれています。

 

購入時には、ツブツブがしっかりして、ヘタが青いもの、ツヤがよく傷がないものを選びましょう。パックに入っている場合は、つぶれていないか裏もしっかりチェックしてください。乾燥しないようにして冷蔵庫で保存してください。水に弱く洗ってしまうと長持ちしないので、洗うのは食べる直前に、また、栄養が流れるのでヘタを取らずに洗ってください。ボールに水を流しながらやさしく振り洗いするといいです。または、マナオ水で洗うとビタミンCの損失が少なく水っぽさもなくおいしくなります。塩は、表面が傷ついて農薬や汚れを吸収してしまうので使わないでください。

 

イチゴは、先端の尖った方が糖度が高いので、ヘタの方から食べると最後まで甘味を感じられます。甘味が足りないイチゴは、砂糖の他にコショウもいいそうですよ。どうしても酸っぱくて食べられないものは、ジャムにしたりデザートにするといいでしょう。意外に白和えにも合います。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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