昨年、マイナンバーカードの更新というミッション(※サイバー任務ではない)が舞い込んできました。封筒で届いた案内を開くと、必要事項を手書きせよという指令。そして役所で並び、担当の方と一緒に画面を見ながらポチポチ操作。書類もらって終了。
ーまるで昭和から時間が止まっているかのような手続き。書類が苦手な私は、地味に神経をすり減らしつつ「これ家のPCじゃダメなんかい…?」と心のなかで何度もつぶやきました。
一方、昨夏、デジタル先進国エストニアのタリン市役所へ視察に行ったときの衝撃といったら…。月曜朝の9時に市役所にいたのは、パソコンとにらめっこしている職員さん3名だけ。市民の姿は皆無。そりゃそうですよね。スマホやPCがあれば、ほぼ全ての役所手続きはオンライン完結。本当に用がある人だけが、デジタル機器アレルギーのごく少数の住民か、ハッカソン帰りの観光客(?)ぐらいでしょう。いっそもう“役所不要"説まで出てくる勢いです。
さて、大阪万博の事前ニュースで「チケット購入が大変わかりづらい」という話を耳にしました。実は来てほしくないんでは? と勘繰るレベル。AI大国なら国際イベントの運営も効率化されるはずなのに、日本だと相変わらずガラパゴスです。いっそアナログ万博を開けばいいんじゃないか、と私の中の“破れかぶれスイッチ"が作動し始めましたよ。「デジタルデトックス」と銘打って、“手仕事と伝統技術があなたを癒やす"系イベントを敢行。入国する人には“アナログ税"をいただいて、着物の着付けから墨絵のワークショップまで人間臭さ全開にしてしまえと。人力を惜しみなく投入するわけですからコストは上がりますが、その分、どこか懐かしくて豊かな体験ができるかも。ほんとうに“デジタル"の限界を感じて疲れた方には、ちょうどいい回復プログラムになるでしょう。
とにもかくにも、“デジタル弱小国"のひずみを身をもって感じる日々。もはや日本のアナログ力を逆手に取り、「それが日本の味なんだ」と言い張るぐらいの開き直りも、センシュアル・エイジングには大事かもしれません。何をやらかしても、書類の山に目を回しながら笑っていられたら、(国は貧乏になるでしょうが)きっと人生は豊かになると信じたい今日この頃です。