コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング Vol.74 美容相談本音トーク(その1) プチ整形の裏側─ボトックス注射は本当に安全?

Dr.MANAのセンシュアルエイジング

美容の世界はいつも、新しいトレンドやちょっとした疑問が溢れています。エステサロンの医療顧問を務める傍ら、皆さんから日々寄せられる美容に関する質問に頭はフル回転。もし皆さんが気になる美容&健康の常識や疑問があれば、ぜひ編集部まで「Dr.MANA宛の質問」として送ってくださいね。今回は、サロンからの質問に答えてみたいと思います。

 

質問:

「ボトックス注射は結局安全なんでしょうか? 副作用についてはある程度理解していますが、ボツリヌス菌を注射することになるので、過去に食中毒の経験がある人にはアレルギー反応が出ることもあると聞きました。それ以外に注意すべき点はありますか?」

回答:

ご質問いただいたアレルギー反応についてですが、ボツリヌス菌による食中毒を経験した人がボトックス注射でアレルギーを示す確率は、非常に低いとされています。ただし、ボトックス成分やその他の添加物に対してアレルギー反応を示すリスクは完全にない訳ではなく、注意が必要です。また、ボトックスに対する耐性が発生する可能性もあります。つまり、繰り返しボトックス治療を受けることで、一部の人は効果が薄れてしまうことがあります。

 

ボトックス(ボツリヌス毒素)は、美容のみならず医療分野でも広く利用されています。たとえば眼科では、眼瞼けいれんや斜視の治療に保険適用で使用されます。これらは筋肉の過剰な緊張や不適切な動きを抑えるため、ボトックス注射によって筋肉を一時的にリラックスさせ、症状の改善を目指します。加えて、慢性的な偏頭痛の予防や過剰な発汗(多汗症)、尿失禁、顎関節症、筋緊張異常など、様々な医療用途にボトックスが使用されています。これらの用途でのボトックス使用は、その筋肉リラックス効果を活かしたものです。その効果と安全性は広範な臨床研究によって支持されていますが、治療は適切な診断と専門医の管理のもとで行われるべきです。医師の技術によって結果に差が出ることがありますし、意図しない表情になるリスクも伴います。プチ整形とはいえ、経験豊富な医師による施術をお勧めします!

美容に関する疑問や情報交換の場として、今後もこの連載を続けていきたいと思います。読者の皆様からの質問やトピック提案をお待ちしております。

Dr. MANA(岩本 麻奈)

一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト 
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)

公式HP: dr-mana.com   公式ブログ: ameblo.jp/dr-mana

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