コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング Vol.84 美しさの手引き:美容整形、焦らず選ぶ心得

Dr.MANAのセンシュアルエイジング

「インスタで見たこの先生、すごくない? ビフォーがこんなで、アフターがこんな!」。友人のスマホ画面には、魔法のように生まれ変わった顔が並ぶ。目はパッチリ、鼻はスラリ、輪郭までも見事なまでのシンメトリーだ。だがここで一度立ち止まってほしい。美しさは一日にして成らず。美容整形もまた同じである。

最近、インスタやSNSのビフォーアフター写真を頼りにクリニックを選ぶ人が増えている。中には「この先生、なんだか素敵!」と、施術ではなく医師自身に魅力を感じて選ぶ人もいるとか!? だが、その結果「こんなはずじゃなかった」と嘆くケースも後を絶たない。

日本では「直美」問題が業界の闇として囁かれている。これは研修後すぐに美容クリニックに飛び込み、即座に“院長"を名乗る若手医師のこと。形成外科の経験が浅いままメスを握るのだから、結果は推して知るべし…。外見だけでなく心に「後悔のシワ」が深く刻まれてしまうこともある。

では、信頼できる医師をどう選ぶか、心得は3つ。

1つ目:知人や業界通の推薦を頼る。
SNS以外の口コミは最強のフィルターだ。「この先生なら大丈夫!」と太鼓判を押す知人がいるなら、それは黄金の情報に他ならない。

2つ目:医師の経歴と資格を確認する。
「形成外科医」、「専門医」。このバックグラウンドは美容整形における基礎の証明だ。譜面の読める音楽家のように、基本がなければ名演奏は生まれない。即興(経験)はその後にこそ活きる。

3つ目:カウンセリングを複数受ける。
美容整形は人生の晴れ舞台。即決は禁物だ。最低でも2~3箇所のクリニックを訪れ、医師の誠実さや自分との相性をじっくり見極めること。「質問に曖昧な答えしか返ってこない」、「施術を急かす」医師なら、次回の予約は不要だ。―焦るなかれ。美容整形は緊急事態ではないのだ。

情報収集、医師選び、カウンセリング。この三拍子を揃えることで、初めて納得のいく“美しさ"が手に入る。

「新しい顔は、私にぴったり馴染んでいる」

そう心から思える瞬間こそ、何よりの成功だ。美しさとは外見だけではない―。その過程で得る安心感、信頼こそが、あなたを内側から輝かせる。

焦らず、楽しみながら、美しさの「旅」を手に入れようではないか。

Dr. MANA(岩本 麻奈)

一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト 
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)

公式HP: dr-mana.com   公式ブログ: ameblo.jp/dr-mana

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