コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング Vol.82 コバエ一匹で大騒ぎ? 清潔大国ニッポンと世界のハエ事情

Dr.MANAのセンシュアルエイジング

「コバエが料理に一瞬だけ止まってしまった! その料理、衛生的に大丈夫?」̶こんな記事を読んで、日本は本当に平和で清潔な国だなぁと改めて感じました。

その記事での専門家の答えはというと、「コバエは汚い排水溝やトイレなどに止まっているため、足や口についたバクテリア(細菌)を料理に運ぶ可能性は否定できません。しかし、料理に数秒止まったくらいで健康被害が出るほどバクテリアが移るとは考えにくいです。食卓でコバエを見かけた方は、一度、お掃除を怠っている場所がないか家の中を点検してみてはどうでしょうか。それは恐らく“虫の知らせ"かもしれません」という、洒落た(!?)オチまでついていました。

日本の家屋は密閉性が高いので、小さな虫でも気になってしまうのでしょう。バンコクでは野外で食事をする機会が多く、コバエどころか堂々たるハエも普通に飛び交っていることでしょう。プノンペンにいたときも、ハエとの格闘は日常茶飯事でした。ジカ熱やマラリアを媒介する蚊のほうが、よほど厄介な存在だったと思います。

面白いことに、フランスではハエをあまり見かけないのに、国境を越えてスペインに入ると、なぜかハエが群がるのを思い出しました。まるでハエにも国境があるかのようですね。私自身、アフリカの乾燥した大地が好きで、サファリにも何度か訪れましたが、そのときはハエの大群で料理の詳細がわからないほど。もはや料理のトッピングの一部と化していました。

コバエ程度、間違って口に入ったとしても、未来の昆虫食の練習と思えば良いのかもしれません。免疫力を高めておけば、なんてことはありません。そういえば、ハエが止まれないくらいで、なおかつ料理が飛ばない程度の“風"を扇風機で断続的に送るアイデアはどうでしょう? 実際、暑い土地にはハエが多いので、涼しくなって一石二鳥です。

結局のところ、日本人の清潔好きは度が過ぎると、海外でのサバイバルは難しいかもしれませんね。もっとも、「そんな不潔な場所には一生行かないから関係ないわ」と言われてしまいそうですが。

Dr. MANA(岩本 麻奈)

一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト 
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)

公式HP: dr-mana.com   公式ブログ: ameblo.jp/dr-mana

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