地震台風火事おやぢ―皆様の母国、災害列島日本も温暖化の波を受けていよいよやばい。
「南海トラフ地震が今後30年以内に発生する確率が70%と言われていますが、最近ではその確率が5~6倍に跳ね上がった」という報道が目につきますね。不安に駆られがちですが、ちょっと冷静に考えてみましょう。元々のリスクがどれくらいかを理解していなければ、適切な判断はできません。
例えば、「ある食品を食べ過ぎると発がんリスクが5倍になる」という話を聞いたことはありませんか? でも、元のリスクが0.001%で、それが0.005%に増えたとしても、どれほどの危険があるのでしょうか? 大事なのは、相対的なリスクだけでなく、絶対的なリスクを見極めることです。
ここで、私の数学と統計学の師匠に、冒頭の「確率」の捉え方を教わりました。まず、30年間で70%の確率で地震が起きるとします。これを年間に換算すると、約3.9%、1か月間で考えると約0.334%の確率になります。次に、この確率が「5倍」に跳ね上がると、年間の確率は約18.2%、1か月間の確率は約1.66%に増えます。しかし、これが30年間も続くかどうかは不確かで、結果的に30年間全体の確率はほとんど変わらない可能性が高いのです。
要するに、「5倍に高まった」という報道は、短期間(例えば1か月間)におけるリスクが急増したことを示しており、それが長期間続くとは限らないということです。これまでの経験から、こうした短期間のリスク増加に対する注意喚起は当然のことです。日常生活では適切な備えが重要ですが、過度に不安になる必要はありません。むしろ、どの地域でも地震は起こりうるので、常に心の準備をしておくべきです。実際、予測されていなかった地域で大規模な地震が発生したことも歴史的に多くあります。
日本人は確率への理解が弱い傾向があり(確率と割合を混同しがち)、これは曖昧な日本語の特性、教育システム、そしてゼロリスクを好む文化によるものかもしれません。しかし、地震の本当のリスクは、予知情報に過剰に反応してしまうことにあるのです。どこであれ、いつでも地震は起こりうると考えることが正しい姿勢です。リスクは冷静に確率論を踏まえて考えることで、より適切に対処できるのです。