夏も近づく八十八夜♫ マダガスカル島沖に発生した季節風が印度亜大陸を越え、ベンガル湾の湿気をたっぷりと含んでアセアンに侵入してくる季節となりました。四季のない熱帯モンスーン地帯では雨季と乾季しかありません。日本の梅雨は露でありつつ、黴(カビ)の雨。洗濯物も乾かない、ムシムシとまったくウンザリしてくる季節です。
ここで問題です。「日本の四季の中で、もっともお肌の調子がよくなるのはいつでしょう?」
コンパーチブルで突っ走れる春や秋がいい? ―どちらも花粉症が襲ってきます。さすがに過酷な季節の冬はない。そうだったら、夏? 日光サンサン、汗はダラダラ、汗疹や虫さされ、肌トラブルに悩まされるからあり得ないか。
いいえ、答えはナツ、それでも夏なのです。夏の肌は多少のダメージにも負けない強さがあります。発汗量が増えるため、汗に含まれる肌の天然保湿因子成分でもある乳酸ナトリウムが肌を潤わせます。生体防御のメカニズムが働いて、過酷な環境に適応させているのです。
証拠といったらヘンですが、夏は化粧品の比較試験は行われません。肌の調子が良くなって、有意な差が認められにくくなるからです。暑いだけでなく蒸し暑い、高温多湿の気候は天然のミストサウナとなって、肌の角層の水分量保持を約束します。新陳代謝も活発となりますよね。夏のお肌は、UVケアとエアコン乾燥対策さえバッチリしていれば、怖いものなしのウキウキ気分なのです。
「ビタミンDは日光浴から」とも言われたように、日照時間の少ない北国の体内生成は悪く、冬季うつ病の発症頻度が高くなっています。それだけでなく、冬は体全体の機能も低下します。老人や病人の病態が急変することが多いのも圧倒的に冬。南国の天然はまるで違います。それぞれのホルモンが滞りなく分泌され、血液循環もきわめて好調。精神的にも体内環境は理想的となって、人体最大の臓器である皮膚に恩恵が燦燦と降り注いでいるというわけです。
私たちの住む常夏のこの地こそ、乳と蜜流れる約束されたカナンの地だったのです! 暑さにしっとり汗を滲ませて、そそるお肌を作り上げていきましょうね。