コラム お金の知識を高めるコラム Vol.61 経済成長目標維持に苦慮する中国

お金の知識を高めるコラム

Vol.61 経済成長目標維持に苦慮する中国

 6月にロックダウンが解除されて以降、政府が追加で実施した経済対策の効果もあって、消費や景況感の回復が確認されてきた中国経済だが、夏場に差し掛かって、国内でリスク要因が持ち上がってきた。

一つは流動性不足に苦しむ不動産開発業者の大型開発プロジェクトが遅延していることによる問題である。個人購入者が、物件の引き渡し遅延を理由にローン支払いを拒否する動きに出て、この波紋が拡大しているのだ。

もう一つは中国国内の需要が後退している経済指標が散見されていることである。7月の貿易統計では輸出が前年同月比18%増と上振れるなど予想外に健闘していた。しかし、輸入に関しては同2.3%増と6月の1%増から加速したものの、期待通りには伸びなかった。

新型コロナウイルス感染拡大を受けた落ち込みから回復を目指す中国政府は、国内消費を喚起するため、今年5月以降、自動車の購入促進策などを矢継ぎ早に繰り出した。ロックダウンが解除された6月以降は、海外向けの生産や物流の回復が鮮明となるなど中国経済にとって心強い材料も見えてきているが、大規模な対策を打ちながらも内需はピリッとせず、脆弱さが目立つ状況である。

さらに7月に入っても新型コロナウイルの感染状況は、4月ほどのレベルではないものの、部分的なロックダウンは実施されており、相変わらずのリスクファクターである。

民間シンクタンクの多くは、2022年の中国の経済成長率が年4.0%を割り込むとの予想が大勢を占めるようになってきている。中国政府高官からも、世界的な消費減速の兆しに腰が引けたのか、5.5%成長のみが独り歩きすることをけん制する発言が伝えられたりもした。本来なら中国政府は追加経済対策による効果への期待と、経済下支えへのコミットメントを示すだけで中国株式市場の安定化に資するはずだが、このところの動きは覚束ないところがある。

そんな中、この秋には習近平国家主席の3期目入りが決定されるタイミングが来る。中国共産党の幹部の評価には必ず経済成長・経済運営がついて回る。果たしてすんなりと物事が決まるものか、注目しておきたい。

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    長谷川 建一

    国際投資ストラテジスト

    シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

    著書
    ブログ: HASEKEN
    寄稿中

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