コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング Vol.9 生命賛歌のセンシュアリティと 男らしさ女らしさの呪縛(前編)

Dr.MANAのセンシュアルエイジング

 今年1番の明るいビッグなニュースはタイから。記憶に新しい「タムルアン洞窟の少年ら13人救出」は、混沌とした暗闇の世界で閃光のような輝きを放ちました。世界中のエキスパートが協力して子どもたちを救い、世界中の人々が子どもたちの命の無事を祈りました。自分の子も他人の子もない、人種も国籍も関係ありません。だって、私たちは同じ人間であり、子どもたちは次代をつくっていく存在なのです。誰の子であれ、子どもの命は大切にしていきたいと思うのは、人間の共通意識だと思います。

 発想は飛んで、場面は急展開します。

 今年の春、東京の目黒では悲痛極まりない事件が起きました。5歳の女の子が義父の虐待暴行の果てに死亡したあの事件です。―もうおねがい ゆるしてくださいおねがいします ぜったいやくそくします― 記者発表で女の子の反省文を読み上げた警視庁捜査一課長が、途中から嗚咽で読み通せなかったと聞きました。せつなすぎます。

 この事件がそうであったかはわかりませんが、男がわが子をいたぶるのを女は黙って見ていたのでしょうか? 暴力や脅迫もあったかもしれません。しかし「女は弱し、されど母は強し」とも言うのです。男との間の1歳の男の子だけでもと思ったのか、目先の経済力を依存していたからなのか。でも方法はいくらでもあったはずなのです。

 私は世間でいわれる〈男らしさ〉とか〈女らしさ〉は、どんなことなのだろうと思いました。男らしいとは「腕白でもたくましい」ことで、女らしいとは「おしとやかに慎ましい」こと? そんなこと大昔の話だったんじゃないでしょうか。

 成獣のクマのオスは単独で生きています。メスは子連れもしくは単独です。オスは時にコグマを殺します。子育て中のメスは発情しないので、オスは子連れのメスに出会えばその場でコグマを殺します。メスはコグマがいなくなると発情し、子を殺したオスと交尾します。泣く泣くと言いたいのですが、そうではないのです。オスの子殺しはクマに限らず、ライオンなどでも頻繁に起きます。だからこそ、畜生というのですね。つづきは次号にて。

Dr. MANA(岩本 麻奈)

一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト 
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)

公式HP: dr-mana.com   公式ブログ: ameblo.jp/dr-mana

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