性ホルモンが体を走り回っていた狂騒に倦んで、穏やかにたゆたう期間を更年期といいます。更年とは年が更(あらた)まる門出ではありますが、更年期には冷たく暗い冬となるマイナーな雰囲気がまとわりついています。大和の国では吐かれた言の葉が現実となると信じられてきました。これは問題かもしれません。
数年前に出した“パリマダ”こと『パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ』という本、ここに登場したパリマダたちは異口同音に言ったものです。「これからこそ女性の天下なのよ。セックスを心から愉しめるわ。不調もノン・プロブレム。今はホルモンパッチだってあるし」と。皮膚科学的に言えば、肝斑のようなホルモン関連のシミは閉経後に薄くなるし、ムダ毛も目立たなくなります。とはいえこの一抹の淋しさは何故?
「それは日本人の若さというか未熟への憧憬じゃないかしら。女であることを生理的にしか捉えられないのよ。だったら日本の男はEDになったら男を引退するってわけ?」。パリマダは反論します。彼女たちにとっては、子供も巣立つ頃、いろいろな煩わしさから一気に解放され、まさに“幸年期の到来”なんでしょう。
こんなに楽しく元気になれる提案を、フランス女性に独占させてたまるものですか。“パリマダ”では「幸年期」を提唱しましたが、ともかくコーネンキの音感が宜しくない。今回は思い切って音感ごと変えます。
英語で女性更年期はmenopause(メノポーズ)、これに決まり!覚え方は、簡単“目のポーズ♪”。これまでがホルモンに突き動かされて、カラダ全体でシナをつくって女を表現してきたのだとしたら、これからは「目」で勝負。
生きてきた豊かな経験知は瞳に宿っています。娘十八に負けず男を落としてもいい、芸術を観る目となり、文芸に没頭して読む目でもいい、書を捨ててアウトドアに出たっていい。なにしろ目=女(めはめ)。一年中遊びまわるのだったら、やっぱり香り高いメロウな南の国に決まっています。
R45は知力とセンシュリティでいろんなものに恋する人生の始まりです♥