日本女性で生涯現役&ジェンダーフリーを体現している方となれば、まず若宮正子さんの名を挙げるべきでしょう。定年後に初めてパソコンを手にし、3か月かけてパソコン通信に接続してメロウ倶楽部に参加。エクセルアートを考案してEXCELの新しい利用法との評価を受け、2014年にはTEDで英語のスピーチ。ゲームが若年向けに偏っている現状に、シニア向けのゲームを作りたいとプログラム制作を習得、2017年81歳でiphone用ゲームアプリ“hinadan"を開発して、世界最高齢のプログラマーとなり、2018年2月には国連総会「高齢化社会とデジタル技術」での基調講演を行われました。
若宮さんが素晴らしいのは知的好奇心の集中です。得意なことや好きなことに特化して、徹底的に道を究められました。時間は有限であり、肉体の老化をとどめることはできません。しかし、肉体年齢と脳とは関係ありません。精神は常に青春。老人になるのは、面倒臭がりになることだともいいます。学びを億劫がらずにやる、やり遂げる意志力が大事です。若宮さんの脳は間違いなく若い脳なのです。
そんなことを思っていたら気がつきました。「同じエピソードが男性だったらどうなんだろう?」と。ここまで大きなニュースにならなかったのではないかしら。そこでこんなのはいかがでしょう。―退職後、独学で手芸に凝るようになり、そのうちにお教室を開いてお弟子さん千客万来、家元となって作品展まで開催した、「手芸翁」! そうなってこそ、アンコンシャス・バイヤスの崩壊となるのではありませんか? もっとも、この設定そのものが古いジェンダーから抜け出ていないとも言えます。女性だけが因習に囚われているのではなく、男性もまた同じことであります。ただ力や富を持って、自分がよりいいポジションにいると思っている方は、その座から降りたくはないのが本音です。
「犬が人を咬んでもニュースとはならないが、人が犬を咬んだらニュースとなる」といいます。メディアは非日常を取り上げるのです。大切なことは偏見のなくなった日常の実現ですね!