「注射するだけで、鼻、頬、乳房などあらゆる部分を整形できます。無痛無害で細胞と同化します」これは戦後に流行った異物注射療法の一つであるオルガノーゲンの広告の抜粋です。その後数十年に渡り、肉芽種形成で要摘出等、悲惨な被害が頻出したことで知られます。
職業柄、わたくしは果敢に人体実験にチャレンジというか、できるだけ多くの美容医療施術に我身を晒してまいりました。経験値を深めるというより趣味と実益との説もあり強ち妄説とは主張していません(笑)。そんな私ですが、斬新な美容機器に奇想溢れた最新メソッドの類には特に用心します。人間の皮膚といっても一概にできず、人種間の肌質や環境による差が大変大きいもの。それに出始めの半年間はそれこそ人体実験。好んで治験者になる必要はありません。最低でも1年か2年、冒頭のような非吸収型異物注入に至っては数十年単位の様子見が賢明です。
美容医療は疾病治療とは異なります。それは心の豊かさのためであり、センシュアルに人生のゆとりを身につけていたい意欲の表象なのです。だからこそゆったりと構えて良しあしを吟味するべき。飛びついた結果、「時間と金のムダだった」だったらまだマシ。元にさえ戻れないことだってあるのですから。
ドクターの選定基準は、第一に施術のメリットとリスクを冷静に説明し、あなたに理解納得させる能力と匠の技術。第二に「この人なら身を任せられる」と思う人格と相性です。そうした医師との出逢いがあるまでは焦ることはありません。あなたの肌質も造作も他人とは違います。なお、情報のカオスであるWEBは正解がありません、ご注意ください。
焦ることがないから変動ファクターが多いとも言えます。わたくし、体を張り身銭を切って時に痛さをこらえ、同業の友人知人たちにも訊ね回って検証してきました。その豊富な過去(?)ゆえに皆様の道案内くらいはできそうです。美容皮膚科に限らずエイジングや衛生関連、イチ押し美容施術もご紹介していきたいと思っています。