タイ野菜でべジフルライフ

第72回 花ニラ

花ニラ
Chinese Chive Flower
ดอกกยุชา่ย(ドーク・クイチャーイ)

あれ~、タイってここまで暑かったっけ~?と、乾季に甘やかされた体が驚いております。私ってば、何年タイに住んでるのよー、年のせいじゃないの~?と、自分につっこんでみたり。実際にエアコンの効き具合も違ってきていて、暑い日にパーティーがあると、最低温度で強風、さらに扇風機も出さないと間に合わないということが何度かありました。この先、寝苦しい日が続くのかと思うとちょっとゾッとしますね。

 

暑季は、マナオやパクチーなどいつも何気に使っている食材が高くなります。マナオは、タラートなどで安い時にまとめ買いしましょう。タッパーにマナオが1/4かぶるくらいの水を入れて密封しておくと、新鮮なままでかなり長持ちします。乾燥が大敵なのです。パクチーは逆に水気を嫌いますので、水分をふきとってペーパータオルを敷いたタッパーに入れます。

 

パクチーといえば、チェンマイがヘイズ(煙害)で大変だと友人がこぼしていました。空気を吸うだけで毒が体に入ってくるようでゾッとしますね。友人には、パクチーをモリモリ食べるようにすすめしました。パクチーには、有害金属を排出する力があるのです。パクチーだけを食べるより、ニンニクやタマネギ、ニラなどの含硫成分と合わせると効果がアップします。デトックスというのは、病気予防はもちろん、美肌効果も期待できます。ヘイズに限らず、車の多いバンコクにいてもパクチーはたくさんとりたい食材のひとつです。

 

今回は、そのパクチーの効果をアップする力がある含硫成分を持つ花ニラを紹介しましょう。暑い=精力のあるものを食べよう!という単純思考でもあるのですが、美味しい野菜ですのでこの機会にいかがでしょう?

 

花ニラは、葉を食べるニラがさらに育った花の蕾と茎を食すものですが、最近は、花ニラの専用品種が出回っています。買う時は、シャキッとしていて、立てた時に花が垂れずピンとしているものを選んでください。葉ニラに比べてニオイが控えめで、甘味と歯ごたえがあり、葉ニラは苦手だけど、花ニラなら食べられるという方もいます。

 

一般に炒めものなど中華料理に利用されることが多く、タイでは、レバーと一緒に炒めたスタミナ定食に出そうな料理が人気です。卵との相性がよいようで、卵と炒めたり、卵とじにしたり、和風のおひたしにして温泉卵と一緒に食べるとちょっと贅沢な気分になれます。最近流行りの冷凍卵でも試してみたいところです。他にスープやナムル、餃子の具にもいいでしょう。使う時は、繊維質が強いので、短めに切るといいです。

 

花ニラのニオイのもとは、アリシンという硫化化合物の一種で、ビタミンB1の吸収を助ける働きがあります。疲労回復や滋養強壮に効果や新陳代謝を活発化させる働きがあり、ニオイのきつい野菜が精がつくと言われるゆえんでもあります。また、アリシンには、免疫力を高め、抗がん作用もあり、冷え性や血栓・動脈硬化の予防にも効果があります。さらにビタミンC・E・Kやカルシウム、βカロテン、食物繊維も多く含みます。葉ニラに比べるとこれらの含有量は少ないと言われますが、他の野菜に比べると十分に栄養豊富な野菜といえます。タイは、日本に比べて入手しやすいですね。似たようなのにネギの花やニンニクの花もタイではよく出回っていますが、どれも硫化化合物を含みますから、夏バテ防止のためにもしっかり食べたいところです。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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