タイ野菜でべジフルライフ

第10回 蓮(ブア)


Lotus
บัว (ブア) / ไหลบัว (ライブア)

みなさま、2010年の目標はたてられましたか?新年はさらにヘルシーな毎日をめざして、野菜・果物を1日500g以上摂取、べジフルライフをさらにエンジョイしましょう!今月は、新年を祝うにふさわしい食材をと考えて、蓮をとりあげます。蓮の根茎である蓮根(レンコン)は、穴が空いていて先が見通せることから縁起がいいとされ、お正月や慶事に食されます。蓮の種実は、千年以上たっても発芽する力があることから、これまた縁起物とされています。蓮の花である蓮華(レンゲ)は、泥沼の中でも美しく清浄な花を開くことから聖なる花とされてきました。

 

日本人になじみがあるのは蓮根ですが、おかずとして食しているのは、主に中国と日本です。一般には、甘く味付けしてデザートに用いられることが多いようです。タイでも蓮根が果物売場に売っているところがあって驚きました。タイは、蓮の花がいたるところに咲いているのですから、もっと蓮根が出回ってもいいようなものですが、食用としての需要が低いのでしょう。タイ産の蓮根は、ちょっと細身で黒っぽく、大きくて立派で白いのは、ほとんどが中国産です。

 

蓮がすごいのは、根や種実だけではなく、花も葉も茎も食べられるところです。蓮根はよく利用されていると思いますが、キンピラばかりの方は、ぜひ蒸してみてください。ホクホクとした違った食感を楽しめます。山芋が高価なタイでは、私は蓮根をつなぎによく使いますので、もうちょっと出回って欲しいところです。花は、天ぷらやスープに使われます。ちなみに中華匙のレンゲは、蓮の花びらに似ていることから名づけられました。花が美しく咲いた後は、果実が肥大化して蜂の巣のような形になります。そこから種実を採取します。中華料理やデザートによく使われていますので、食べたことがある方も多いでしょう。乾燥しているのは手軽に入手できますが、タイの市場では生も手に入れられます。葉は、料理やご飯を包んだり、肉や魚を包んで蒸して香りを楽しみます。花も葉も根もそれぞれに精がつくなど効能があり魅力がありますが、手軽にまず挑戦していただきたいのが、蓮の茎です。以下、蓮の茎について述べます。

 

原産地は世界各地いろいろな説がありますが、食用として栽培を始めたのは、中国です。蓮の茎は、蕗に似た見た目ですが、小さなかわいらしい穴が空いていて、レンコンにつながる紛れもなく蓮なのだとわかります。カロリーが低く、便秘解消、高血圧予防、動脈硬化予防になる食物繊維が豊富です。また、清熱効果があり、生薬としても利用されています。蕗をイメージして手強そうと挑戦できずにいる人もいるようですが、スーパーで売られているのは下処理がしてあり、アクもほとんどなくとても料理しやすいです。ベトナムではサラダとしてよく食されています。タイでは、炒め物やゲーン(カレーやスープ)にされます。蕗に似ているだけあって、キンピラ風に甘辛く炒めると、すっかり和の食材です。なぜ日本でもっと利用されないか不思議なほどです。さっと湯通しして和え物にもいいです。生のままでも食べられますので、加熱し過ぎずシャキシャキ感を残すといいでしょう。でもわざとクタクタに煮込んだものが好みだという方もいます。味噌汁にいれてもよく合います。味がしみやすく、クセが少ないので煮びたしや甘くコンポートのようにも仕立てられます。利用方法がまだまだありそうな、楽しみな食材といえます。蓮の茎は、タイ語でไหลบัว(ライブア)と言います。そっくりなものに睡蓮の花บัวสาย(ブアサーイ)があります。私はしばらく蓮と睡蓮を混同しておりましたが、タイ人もよく間違っているようです。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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