タイ野菜でべジフルライフ

第52回 ニラ

ニ ラ( 韮 )
Garlic chives Chinese chives
กุยช่าย(クイチャーイ)

先日、NHKを見ていたら「高温注意情報」というのが表示されてちょっと驚きました。私は初めて見ましたが、東北大震災後の7月から気温が35度を超えると予想された場合に発せられているのだそうです。省エネと猛暑で熱中症患者が急増したことが要因ですが、なんとまあ日本国民は過保護にされていることか、35度くらいで大げさな…と一瞬思いました。しかし、同じ35度でも日本とタイは湿度の違いなのか暑さの質が違いますね。また、人間の体というのは、やはり慣れというものが ありますから、単純に比べてはいけないのでしょう。逆にタイの乾季に凍死者が出たというニュースを時々耳にするわけで、人間って弱いものなのですね。でも、人間には、知恵があるのですから、基礎体力をアップし暑さ寒さに抵抗する力をつけ、あれこれ工夫して予防することはできるはずです。夏休みで一時帰国する方も多いと思いますが、タイ在住者が日本で熱中症になったなんて、ちょっとシャレにもなりませんので、みなさま、どうぞお気をつけ下さいませ。
かしこく生きるための基本は、まず食事です。私の頭の中では、「猛暑」→「夏バテ」→「スタミナ」→「ニンニク」「ニラ」「スタミナ炒め」という単純なイメージがいつも浮かびます。今回は、そのニラについて説明したいと思います。ニラには、葉ニラ、花ニラ、黄ニラとありますが、みなさんは、どれがお好きですか? 今回は、一般に入手しやすい葉ニラについて説明してみます。
中国原産といわれ、日本でも「古事記」に登場するほど、古くから親しまれてきました。ネギやニンニクと同じユリ科の植物で、この仲間は「葷菜(くんさい)」と呼ばれ、臭くて精がつき過ぎるということで仏教では避けられてきました。ビタミンB1・B2・C・E・K、カリウム、カルシウム、鉄、マグネシウムなど栄養満点で、特にβ- カロテンはトマトの6倍もあります。ニオイの元であるアリシンは、血液の循環を促し代謝を高め、内臓を温めて消化を促進する作用があります。また、ビタミンB1の腸内での吸収率を高め内臓の各機能を活発にしますので、スタミナ炒めは理にかなっているわけです。
切り口が新しく、葉先までピンと張りがあるもの、緑が濃いものを選びましょう。保存は、濡らしたペーパータオルで包んでラップして冷蔵庫へ。傷みやすいので、すぐに使わない場合は、適当な大きさにカットしてタッパーに入れ、ひたひたに水をいれて時々水をかえながら保存すると10日ほど持ちます。しょう油漬けでも長持ちし、調味料がわりに使えて便利です。冷凍保存の場合は、洗ってよく水をふきとって、そのままあるいはカットします。凍ったまま料理に使ってください。
調理の際は、色や風味が落ちないようさっと加熱するのがポイントです。炒め物やおひたしなどもいいですが、アリシンは、細かく刻んだ方が多く発生しますので、スープや餃子、おやきやソースなどにたっぷり利用するといいでしょう。ニンニクのニオイがあふれているタイだと、ニラのニオイも気にすることなくモリモリ食べられるのがうれしいですね。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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