タイ野菜でべジフルライフ

第92回カリッサ

カリッサ/カルンダ
Carunda/Christ's thorn Carissa carandas
หนามแดง (ナームデーン)

乾季になってタラート巡りがますます楽しくなりました。雨の心配がなく涼しいというだけでなく、乾季特有の野菜や果物に季節を感じることができます。この時期のおススメは、生のローゼルの実(正確には萼と苞)です。ぜひジャムや蜂蜜漬け、塩漬けなどにしてみてください。ローゼルについては、以前にこのコラムで書きました。以前といっても第32回ですので読まれていない方も多いでしょう。実は、WOMBangkokのサイトで過去のコラムを読めるのをご存じでしたか?これまで紹介してきた野菜果物の記事が掲載されていてちょっとした図鑑としても使えますのでチェックしてみてください。それでも見たことのない野菜果物に出会ったら、ご遠慮なく私にメールやフェイスブック、LINE、SMSなどでご質問ください。

 

よく「これは何の実?」と質問をいただくのが、今回紹介するカリッサです。私も5年ほど前に路上で売られているのを見かけて初めて購入しました。おばちゃんにどんな味か聞いたら、「美味しくないけど、いっぱい食べてると美味しくなるかも」というよくわからない答え。恐る恐る食べてみるとたしかに罰ゲーム!?と思わせる酸っぱ渋さで、残念ながらいっぱい食べることはできませんでした。その後、旅行先でこの木を見かけて写真を撮ったりしたのですが、実は、住んでいるアパートの向かいの家にもこの木があって、時期になるとたわわに実がなっていたのでした。15年以上住んでいるのですが、知らないものには目がいっても気に留まらなかったようです。みなさんのお近くにもあるかもしれませんよ?

 

インドが原産と言われていますが、東南アジアでよく栽培されているキョウチクトウの仲間で白い花が咲きます。この実を見るとクリスマスを思い出すのですが、英語の別名がChrist’sthorn(キリストの棘)という名前だからでしょうか。キリストが十字架に磔にされていた時にかぶっていた冠は、実際はなんの植物なのかよくわかっていませんが、たしかに枝に棘があります。タイ語の名前がまた複雑でナームデーンとも呼ばれますが、他に
มะม่วงหาวมะนาวโห่ (マムアンハーオマナオホー)とか

มะม่วงไม่รู้หาว มะนาวไม่รู้โห่ (マムアンマイルーハーオマナーオマイルーホー)とマンゴーやライムがあくびしたり叫んだりという長くて不思議な名前がついています。

 

タイ人は好んで酸味と渋みがある未熟な淡い色のものを食べますが、熟すと色が濃くなって味も和らぎます。生の実をそのまま食べる他には、ヤムや漬物、ジャムにもできます。ジュースにもなりますが、甘味や他のフルーツが混じってないと、酸味は感じるもののなんだか味気なく感じます。それでもとても効能があると注目されはじめ、最近になって市販のジュースもみるようになりました。ビタミンCや鉄分がとても多いので、女性やアスリートにもおすすめです。味が調整されたジュースは美味しく飲めますので、トライしてみてください。

 

残念ながらクセのある味なので、生を食べることを積極的にすすめることはできませんが、クリスマスの雰囲気にピッタリですので、酸味をいかしてゼリーやジャムにして、飾りとしても利用してみてはいかがでしょうか。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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