タイ野菜でべジフルライフ

第65回 フクロタケ

フクロタケ
Straw Mushroom
เห็ดฟาง (ヘットファーン)

お誕生日や結婚記念日、今年ももうこんな時期か~と1年の早さに驚くイベントはいろいろありますが、私にとってギンジェーもその一つです。菜食週間と訳されることも多いですが、齋(ジェー)を食べる(ギン)ということで、「齋」には、ものいみ、祭事、精進料理、僧の食事などの意味がありますので、齋食と表記した方がよさそうです。毎年旧暦9月1日から9日まで行われ、街中に「齋」の文字が記された黄色い旗がはためきます。ジェーのカップラーメンが出たり、肉もどき製品が出るなど、スーパーもジェー商品があふれます。厳格なジェーは、卵・乳製品を含む動物由来が一切ダメなのはもちろん、五葷(ニンニク、パクチー、ネギ、タマネギ、ニラなど)といったニオイがきつく、精がつくような食材もダメです。起源は諸説ありますが、19世紀初めにプーケットに移住した福建省の中国人の独特の信仰から始まったと言われます。タイ人でも起源や決まりごとをよくわかっていない人も多く、体を清めるため、願かけのため、健康のためなど、お祭りのように楽しんだり、ゆるジェーの人もいます。

 

2014年は、9月24日から10月2日までです。プーケットでは、盛大なベジタリアンフェスティバルが開催され、顔や体に串を刺した血まみれの不思議(不気味)な行進があったりします。この期間、みなさんも便乗して、厳格でなくていいので、動物質を極力減らすゆるジェーを実行してみてはいかがでしょう?SALADeeでは、期間中、ジェーメニューを揃えますし、伊勢丹のスーパー前でジェー料理の販売も致しますので、ぜひお立ち寄りください。

 

さて今月は、ジェーに関係した食材と思ったのですが特に思い浮ばず…キノコの消費量が増えるかなあということで、タイの代表的なキノコ、フクロタケを解説します。

 

トムヤムスープに入っている変わった形のキノコ、こりこりした独特の食感があって、たくさん入っているとうれしくなりますね。半分に切ると笑った顔のように見えるのがまた愉快です。タイ語のฟา(งファーン)、英語のstrawは、藁(ワラ)という意味で、稲ワラに発生することからきています。通常目にしている卵形は初期の段階で、キノコの傘が茶褐色の袋に入っていることから日本でふくろ茸と呼ばれています。この傘は、成長とともに大きくなって袋を破ってふつうのキノコのようになります。市場では、成長の段階に合わせて値段がつけられています。原産は中国ですが、マッシュルーム、シイタケの次に生産量、消費量が多い世界三大栽培キノコの一つにあげられるほど世界的にポピュラーなキノコです。残念ながら日本では、缶詰しか流通しておりません。生を知ってしまうと、缶詰が本当に残念なことがわかりますね。

 

タイのスーパーでは、さぞ幅をきかせているかと思ったら、みつけるのが難しいことが多い気がします。市場で大量に購入されてしまうからなのか、傷みやすいからかもしれません。買ったらすぐ使うのが肝心ですが、保存したい場合は、すぐ料理できる状態に洗って冷凍してしまうのがいいでしょう。

 

食物繊維が豊富で低カロリー、伝染病に対する抵抗力をつけるとか、傷口の治りを早くする、血圧を下げるなどの効用があるとされ、薬膳でも重用されています。中華やタイ料理では、スープや炒め物に利用されていて、エスニックなイメージが抜けないと思いますが、クセが少ないので味噌汁や和え物など和食にも応用できます。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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