コラム タイ野菜でべジフルライフ 第57回 オオグロクワイ(ヘーオ)

タイ野菜でべジフルライフ

第57回 オオグロクワイ(ヘーオ)

オオグロクワイ 大黒慈姑
Water chestnuts
แห้ว (ヘーウ)

2013年も本コラムにおつきあいいただきましてありがとうございました。連載満4年で特集号を出すことができ、いい記念にもなりました。2014年は、「なりたい自分になる!」をテーマに馬のように颯爽と駆け抜けたいと思っています。新年も本コラムとSALADee、健幸料理倶楽部をよろしくお願いします。
さて、みなさまは、お正月にお節を食べますか?私は、商店の家に生まれ育ち盆も正月もなかったので、タイに来るまでお節というものを作るどころか、食べたことさえありませんでした。タイで日本の伝統文化に出会うというのも妙なものですが、年越しそばもお節も手に入るバンコクってつくづくとスゴイなあと思います。いつかは、作る方も挑戦したいと思っていますが、それにしても、お節というのは、よくできているものですね。新年を祝いめでたさを重ねるということで重箱に詰め、正月になるべく火を使わないという物忌みと主婦を家事から解放する目的もあって、保存の効く料理が並びます。さらに個々の料理に意味や由来があり、何を食べてもありがたく感じます。

お節によく利用される食材の一つにクワイ(慈姑)がありますね。「芽が出る」からめでたいということのようです。タイには、このクワイにそっくりだということで名前がついたオオグロクワイがあります。本家のクワイとよく混同されていますが、全く別の植物です。とてもおいしいので、お祝いの席はもちろん、日常の食卓に取り入れて欲しいと思います。

インド原産のシログワイ(別名イヌクログワイ)の栽培種で、和名をオオグロクワイといいます。水性の植物で根茎(芋)を食します。シャキシャキとした食感は、レンコンにも似ていますが、甘味があって梨のようでもあります。果物のように生でも食べられますが、タイ人は、さらに甘く煮て食べています。また、シャキシャキした食感を活かし、外側を赤くコーディングしたタップティム・クロープというデザートが有名です。中華では、炒め物にしたり、スープや団子、焼売や餃子の具として使ったり、清涼飲料水にも入れるそうです。その他、デンプンとしても利用され、餅状の点心にも使われています。欧米では、サラダやパスタ、キッシュなどに利用されていますので、思いの他、幅広く楽しめる食材といえます。和食でも煮物や炒め物にできます。レンコンのレシピを応用するといいでしょう。

皮に皺がなく、押して柔らかい部分がないものを選んでください。柔らかくなっているところは、腐って変色している可能性があります。皮がついたままビニール袋にいれて冷蔵庫で保存すれば、2週間ほど持ちます。皮を剥いたら水を毎日かえて冷蔵庫で保存してください。食物繊維が多く、整腸作用があるとされ、また漢方では、解熱・利尿作用があるとされています。

スーパーでの入手は難しいですが、缶詰が売られています。皮を剥くのが面倒なのか、市場や道の上では、皮を剥いた状態で売られていることが多いです。みかけたら、オリジナルレシピにトライしてみてください。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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