コラム タイ野菜でべジフルライフ 第70回 ラディッシュ

タイ野菜でべジフルライフ

第70回 ラディッシュ

ラディッシュ/ハツカダイコン(二十日大根)
Radish
หวัผกักาดแดง(フアパッカード・デーン)

昨年流行った妖怪ナントカはよく知らないのですが、年末年始は、とある妖怪につきまとわれて大変でした。その名も「たんすいカブラー」。姿は見えませんが、米や粉に潜んで、常に耳元で「食べようよ~」「今日だけだよ~」とささやいてきます。手っ取り早くラーメン、うどん、回転寿司で満足させたり、それほどお腹がすいてなくても、なぜか麺とご飯のセットを注文させたりします。日本食がヘルシーだなんて誰が言ったー!と叫びながら食べる情けない自分がおりました。すべては妖怪のせいでしょう。正月はここに餅が参戦し、もはや太刀打ちできず、今年は惨敗でした。

 

たんすいカブラーは、人類の寿命を縮めようとあの手この手で攻めてきます。でも、よほどの病気でもない限り、この妖怪を絶滅させる必要はないですし、させてはいけないとも思います。水木しげるさんの言う通り、人間と妖怪は上手に共存するべきです。たんすいカブラーとうまくつきあうには、野菜や果物で迎え撃ちながら、特に危険な白くてフワフワもちもちな食品を避け、栄養価の高い玄米や全粒などの雑穀を味方につければいいのです。デザートやおやつも要注意です。ケーキやパンケーキにも妖怪は潜んで常に誘惑してきます。今年は、フワフワもちもちを卒業して、たんすいカブラーと大人のつきあいをめざしましょう。 それでも食べたい、食べなければいけない時もありますね。そんな炭水化物を食べる時の強い味方にダイコンがあります。今月は、身近すぎてありがたさを忘れてしまうダイコンについて、主にハツカダイコンを紹介しながら、効能などを解説してみます。

 

ダイコンは、地中海や中東が原産のアブラナ科の野菜です。ラディッシュは、そもそも英語で大根一般をさしますが、日本ではハツカダイコンのことをさします。名前の通り20日ほどで栽培できるので、ベランダでも楽しめますし、ガーデニング初心者におすすめです。

 

選ぶ際には、色鮮やかで重みのあるものがいいです。大きさや形は味には影響しません。保存は、湿らせたキッチンペーパーに包んでから密封して冷蔵します。

 

ダイコンは、でんぷん分解酵素のアミラーゼ(ジアスターゼ)、タンパク質分解酵素のプロテアーゼ、脂肪分解酵素のリパーゼなどを含んでおり、消化を助けるだけでなく、抗酸化作用、抗がん作用もあると言われます。ただし、効果を得るには、生で食べる必要があります。さらにダイコンをおろすと、「イソチオシアネード」という辛味成分が生成され、代謝を活性化し、肥満の原因である活性酸素を無害化してくれます。おろし汁もしっかりいただきましょう。また、皮の部分にビタミンCも多く含まれています。ラディッシュは、皮ごと利用できるのでより高い効果を期待できます。ラディッシュをおろすとほんのりピンクのかわいいおろしになります。おろす時には、まるごとではなく、半分なり細く切っておろすと力もいらず楽です。サラダや酢の物、漬物などの他、ご飯に混ぜるとピンクがアクセントのサラダご飯になります。ラディッシュは、ひな祭りなど春を演出するのにピッタリですね。生の健康効果はたしかに魅力ですが、炒めて食べても意外においしいもので、ふつうのダイコンのレシピを応用して楽しむのもいいでしょう。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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