タイ野菜でべジフルライフ

第63回 ノイナー

バンレイシ/シャカトウ(釈迦頭)
Sugar Apple
น้อยหน่า (ノイナー)

日本でタイフェスティバルが頻繁に開かれ、年々、参加者が増えて活気を帯びているようです。安くタイのフルーツを楽しめるのも魅力で、タイ好き、フルーツ好きの人たちの喜びの声をよく聞きます。以前は、缶詰か冷凍でしか食べられなかったフルーツを生で食べられるというのは、たしかに苦労してでも出かける甲斐があるというものです。一昔前は、マンゴスチンを日本に輸出できるワザをみつけたら、大金持ちになるだろうなんて言われていました。害虫の問題があったようですが、2003年に解禁となり、高価ながらも日本でも買えるようになりました。

 

それでもまだまだ日本でお目にかかれない果物というものがあります。先日も日本から来られたお客様に「タイでは釈迦頭、食べられますか?」と聞かれました。台湾で食べてその美味しさに感動し、日本で探し回り、やっと沖縄産を見つけたけれど1個1,000円以上で手が出なかったそうです。それもそのはず、釈迦頭=ノイナーは、保存が難しく、柔らかく潰れやすいので、日本への輸出は出来ずにいる状態です。そんなタイだからこそ楽しめるノイナーですが、意外とタイにいても食べたことがないという人が多いようです。

 

私も来タイしたばかりの17年前、果物にほとんど興味がなかった頃ですが、タイ人の友人から黒くなったら食べてねと1個もらいました。しばらく飾っていましたが、食べ方がよくわからず、黒くなったのを触るとぐしゃっという触感、これはもう腐ってしまったのだと捨ててしまったことがあります。ノイナーは、雨季が旬、私のようなバカなことをする人がいないよう、今回は、ノイナーについて述べてみたいと思います。

 

原産は、西インド諸島か南米と言われる南国らしいフルーツで、世界三大美果にあげられています。表面が釈迦の頭のように凸凹して、未熟の状態では緑、熟すと黒くなります。保存は常温で熟すのを待ちます。熟したところを凸凹を取るようにすると果肉がくっついてきますので、そこをしゃぶるように食べます。ガバッと半分に割ったり、ナイフでカットしてスプーンで食べてもいいでしょう。黒い種が邪魔な気はしますが、種の周りに甘味がありますのでしっかりしゃぶりましょう。口に入れると、甘味がふわ~っなんていうものではなく、しっかりガーンと感じます。クリーミーではあるのですが、砂糖を噛むようなジャリジャリした感じもあります。これがSugarAppleと呼ばれる所以です。このジャリジャリは、石細胞を含むためですが、胃腸では消化されず、腸を刺激して便通をよくする効果があると言われています。

 

すでにこれだけで十分甘いので、もっぱらこのまま食べられていますが、凍らせてシャーベットのように食べても美味しいです。いくつか品種があり、種が大きく実が少ないけれど甘味の濃いもの、実が多くかたくて種離れがいいもの、1個で1キロする巨大なものなどがあります。また、ノイナーの仲間、バンレイシ科には他にチェリモや、アテモヤなどがあります。まずは、身近なノ身近なノイナーを食べて楽しみたいところですね。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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