コラム タイ野菜でべジフルライフ 第7回 アマランス(パッコム)
第7回 アマランス(パッコム)
ヒユナ/アマランス/アマランサス
Amaranth/Chinese spinach/Thai spinach
ผักโขม (パッコム)
8月31日に海外初の野菜ソムリエの会、ベジフルコミュニティBangkok主催の野菜教室を開催しました。会場いっぱいの80名の方々にご参加いただき、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。アンケートを拝見しますと、多くの方に楽しんでいただけたようでホッとしておりますが、もっとタイ野菜の具体的な話を期待していた方も多かったようで恐縮です。どうぞこちらのコラムとお料理レシピもいっぱいの健幸料理研究所のブログ(キーワード検索で出ます)をご参考にしていただければと思います。
さて、タイ野菜への期待をひしひしと感じながら取り上げる今回の野菜、パッコムを選んでみました。在タイの外国人は「ThaiSpinach(タイホウレンソウ)」と呼んで親しんでいます。英語では「Amaranth(アマランス)」「ChineseSpinach」、日本語では「ヒユナ(ヒユ)」「ジャワホウレンソウ」とも呼ばれています。いろいろな名前があるのは、なんとなく雑草扱いで野菜としての地位が低いからでしょうか。○○ホウレンソウという別名がつくだけあって、ホウレンソウの味にそっくりで、ちょっとワイルドになった感じです。でも品種は別物です。タイでは洋食のつけあわせの野菜としてよく使われています。みなさんもホウレンソウだと思って知らずに食べているかもしれません。タイ人は、ポパイが食べていたのは、このパッコムだと信じていたそうです。
アマランスの種は日本ではアマランサスと呼ばれ、雑穀ブームの日本で注目されています。栄養価が高く「新世紀の穀物」とまで呼ばれていますが、実際には、インカ帝国の時代から穀物として食べられてきました。タイでは、葉や茎をしっかり食されてきましたが、種は、家畜の飼料として利用されているようです。モッタイナイ!緑や赤など色や形の違う多くの種類と呼び名があり、このタイでもいろんなパッコムを目にします。
中南米原産ですが、東南アジアやヨーロッパ原産のものもあると言われています。日本では穀物としての栄養ばかりがもてはやされていますが、種に栄養があるということは、葉や茎にも栄養があると考えていいはずです。実際にカルシウムと鉄分は、モロヘイヤやほうれん草の倍以上、ビタミンCはトマトの2.5倍、キュウリの4倍も含んでいると言われ、ビタミンA効力、たんぱく質もたっぷりです。タイでは、目の健康、抗がん作用、コレステロール値の安定などの効果があるとされ、さらに母乳に栄養が出るからと、出産後の女性によく食べさせるそうです。
アクは、ほうれん草より少なく感じますが、生の場合は流水でよく洗い、茹でる場合は、大量の湯で塩を入れずに茹でます。生でも食べられ、焼肉など味のしっかりしたものを包んで食べるのに向いています。紫がかった小さい葉のものはサラダに使えますが、少し硬いので彩として使うといいですね。立派な茎があるものも、ポキポキ折れるものは茎ごと食べられます。使い方は、ホウレンソウとほとんど同じで、炒めものやスープ、何にでも大活躍です。ただ、ホウレンソウより歯触りが悪いという人もいます。パッコムのおいしさをもっともよく実感できるのは、さっと茹でて、よく水を切り、マナオを絞って食べる方法です。他の調味料を一切使わずに、なんでこんなにおいしいのかしら…?と、毎度、感激して食べています。高血圧が気になる方にはピッタリですね。
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road