コラム タイ野菜でべジフルライフ 第56回 ナンキョウ(カー)
第56回 ナンキョウ(カー)
ナンキョウ(南姜/南薑) タイショウガ
Galangal
ข่า(カー)
12月でタイに住んで丸17年となります。もっと長い方もたくさんおられますので、まだまだ若輩者の気分なのですが、タイに来たばかりの頃の話をしようとすると「17年前は…」ということになり、口にしながらなんて昔の話をしているのかと自分で驚いてしまいます。感覚的には、5年前も15年前も変わらないんですけど…。自慢げに昔話をして喜ぶような年寄りにはなりたくないと常々思っているのですが、時々自分の過去をふりかえるというのも未来をみつめるのに必要なことなのかもと思います。この度、ご縁があってタイに来てからのことをまとめて本にする機会を得ました。本といっても電子書籍なのですが、タイトルは、「タイにピンクのタクシーが多いわけとは?―非常識な10人のブッ飛びタイ験―」です。必然の偶然によって集まった世代も職業も考え方も違う、非常識な10人の個性的なタイストーリーが詰まった一冊、12月上旬にまずアマゾンキンドルストアで発売を開始します。多くの方に読んでいただきたいのでとってもお手頃な価格にしていますので、ぜひ購入してください!電子書籍ってなんだか…と気になりつつ手を出せずにいる方も多いと思いますが、利用してみると手軽で便利、特に海外にいると日本の書籍を手に入れるのに一苦労ですが、電子書籍なら重さを気にすることもなく価格も一緒、この機会にいかがですか?この本を契機に、そのうち、タイの野菜や果物の本を電子書籍にしたいなあとも考えています。
さて今回は、その来タイ間もない初々しき頃(?)にショウガと間違って買ってしまったカーについて解説します。
熱帯アジア原産のショウガの仲間で、タイではとても身近な食材です。ショウガとはまた違うピリッと爽快な辛味と香りがあります。鶏とココナッツの白いスープ「トムカーガイ」は、カーの風味をよく活かした料理といえるでしょう。トムカーだけでなく、トムヤムスープやグリーンカレーなど、多くのスープやカレーにさりげなく、時に大胆に入っていい働きをしています。他に花や新芽、若い根茎を生あるいは茹ででナムプリックをつけて食べたり、ラープやヤムに加えたり、肉や魚の臭い消しに使われています。タイ料理以外での利用はあまりないので、購入される方は少ないかもしれませんが、保存する場合は、乾燥しないようにキッチンペーパーに包んでラップやビニール袋に入れると長く持ちます。さらに長期に保存して活用したい場合は、乾燥させたり、スライスして冷凍するといいでしょう。
様々な効能があり、消化を助け、下痢や腹部膨満感を改善、寄生虫駆除などお腹の薬として用いられています。また、マラリアや赤痢の症状を和らげるとか、抗アレルギー作用があると言われ、抗酸化作用、抗がん作用も注目されています。薬として乾燥させた粉末を内服したり、虫さされや皮膚病、打撲の炎症を抑えたり、うがい薬として外用にも使われます。
タイ人が他の国に比べて消化系の癌が少ないのは、トムヤムなどでナンキョウをはじめとした多くのハーブを摂取しているからと言われます。スープに入っているカーを食べようとして、固くて困った経験をした方もいるかもしれませんが、直接食べなくてもスープを飲むことで効果があるのです。これからタイ料理を食べる時は、意識してナンキョウ入りのスープも一緒にどうぞ!
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road