コラム タイ野菜でべジフルライフ 第9回 春菊(タンオー)

タイ野菜でべジフルライフ

第9回 春菊(タンオー)

春菊
Garland Chrysanthemum
ตังโอ๋ (タンオー)

待ちに待った乾季が到来しました。タイは常夏の国とは言うものの、1年以上住んでいれば、タイにも季節があることを感じるようになるものです。来タイ当初は、乾期に「寒い」という人がいるのに驚いたものですが、人って変わるものですね。

 

人間が寒いと感じるのですから、野菜もしっかり感じるのでしょう。雨季から乾季になると、市場に並ぶ野菜の種類が変化します。野菜の「旬」なんて、タイには無縁かと思っていましたら、タイ野菜を楽しむようになって、結構、旬のある野菜があることを知りました。

 

乾季の私の楽しみは、春菊です。そこで今月は、春菊をご紹介します。えっ?タイ野菜じゃないって?たしかに日本でも地域によっては菊菜と呼ばれ、冬の鍋の友として親しまれている野菜です。ただ、タイの春菊は、日本で一般的に見られる春菊とはちょっと違うのです。どうやら、春菊と気がつかずに見過ごしている人も多いようです。

 

タイの春菊は、中国で一般に見られる「大葉春菊」という種類で、日本でも一部の地域で栽培されています。背丈は低く、葉が大きくて切れ込みが少なく、茎は柔らかく短いのでまるごと利用できます。タイスキのメニューにもあるのですが、いつも「モッレーオ(品切れ)」と言われ、悔しい思いをさせられる貴重な野菜です。たまに雨季でも目にしますが、やっぱりなんだか元気がなくってかわいそうな感じなのです。ですからタイの春菊、旬の間にしっかり味わいましょう!手軽に食べてみたいと思う人は、まずは、タイスキで「タンオー」と注文してみてください。今ならきっとあるはずです。

 

地中海沿岸原産のキク科の植物です。中国で野菜として栽培されるようになりました。タイ語の「タンオー」は、潮州語からきているそうです。傷みやすいので、手にとってよく確かめ、葉がみずみずしくハリがあるものを選んでください。葉が柔らかく、香りもさわやか、アクも少なくとても扱いやすい野菜です。加熱すると少し粘りが出ます。茹でる時は、塩少々を入れて、根元から茹でます。加熱し過ぎると香りが消えますので、短時間で料理してください。保存は、冷水で洗って茎を下にしてポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てておくとパリッとします。茹でてからでも2~3日保存ができます。

 

タイでは、鍋やスープの他に、ニンニクで炒めて食べるのがポピュラーです。炒め物やスープの具、おひたしやナムル、ご飯やパスタなどにも幅広く使えます。葉の形を活かして、蒸してご飯を包んで手毬にしたり、生のままミヤンのようにいろいろな具を包んで食べると楽しいですね。生は、加熱するよりクセも香りも少なく、サラダとしてたっぷり食べられます。ちょっとルッコラに似た感じで、ドレッシングをいろいろ工夫してバリバリほおばってください。欧米では、香りのいいハーブとして利用するそうで、この香りを活かしてジェノベーゼ風にすると、洒落た料理に応用できます。カロテンの含有量がホウレンソウやコマツナに比べても多く、ビタミンB2、ビタミンC、カルシウム、鉄など栄養豊富な野菜です。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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