コラム タイ野菜でべジフルライフ 第20回丸ナス/スズメナスビ

タイ野菜でべジフルライフ

第20回丸ナス/スズメナスビ

丸ナス / スズメナスビ
Thai Eggplant / Pea Eggplant
มะเขือเปราะ (マクアプロ・マクアポ) / มะเขือพวง (マクアプワン)

前回紹介しましたタイの緑の長ナス、焼きナスをお試しになられましたか?そういえば丸ナスの焼きナスはみかけませんね。皮離れが悪いのでしょうか?思い立ったら試すべし!丸ナスをトースターで真っ黒焦げにしてみました。皮は簡単に剥けました。形がかわいいので使えそうな気もします。味は、ふつ~に食べられないことはないですが、長ナスには敵いません。わざわざ丸ナスを焼きナスにする必要はないということでしょう。中には、アクが気になるという人もいました。

 

さて、今度は、アク(灰汁)という言葉がひっかかりました。ナスはアク抜きしなさいって言われますね。アクって一体なんなんでしょう?アクとは、渋味、苦味、えぐ味、不快臭など味覚に不快な作用を与える成分のことで、必ずしも毒というわけではなく、食材によってその特徴は全然違います。アク抜きをし過ぎるとうま味や栄養まで抜けることもあります。最近の野菜は、改良されていますので、切ってすぐ利用するならアク抜きは不要なものが多いようです。

 

ナスのアクは、クロロゲン酸と呼ばれるポリフェノールの一種や微量のアルカロイドという毒にも薬にもなる成分などです。日本は紫の皮のポリフェノール(ナスニン)に健康効果があると注目していますが、皮だけでなく実にも、紫でないナスにも抗酸化作用・抗がん効果などが認められています。ビタミンなどの栄養が少ないと言われるナスですが、数字に表れない効用があるようです。ナスはアクが嫌われて、世界中で改良が重ねられてきました。それなのにタイは、野生種に近いアクの強い品種をずっと守っているのです。世界的にもナスの品種が豊富だと言われるのもそのせいでしょう。タイ人のガンの罹患率が低いので、トムヤムスープなど伝統食が研究されていますが、ひょっとしてナスのアクも一因かも???(摂り過ぎは何事もよくないかと…)。やはりアクが気になるという方は、塩水に浸す、塩をまぶしてしばらく置いてから水気をふいて使う、油を塗って調理するなどの方法をお試しください。油には、渋味を和らげる作用があるようです。

 

丸ナス มะเขือเปราะ(マクアプロ・マクアポ)/ThaiEggplant

薄緑がかったゴルフボール大の丸いナスです。皮や実が引き締まって歯応えがあり、ナムプリックにはかなりの確率で生で登場します。私は、苦手意識があるのですが、瑞々しくて甘くておいしかったという方もおり、品種や時期で違うのかもしれません。このナスの魅力が発揮されるのは、なんといってもゲーン(タイのカレーやスープ)でしょう。グリーンカレーにこのナスがないと、なんだか物足りないものです。煮崩れることがないので、タイ料理にこだわらず、煮物、炒め物、田楽などに利用してみましょう。味の濃いものが合いますが、柔らかい味にしたければ、皮を剥いて使ってみてください。

 

スズメナスビ มะเขือพวง(マクアプワン)/PeaEggplant

ナスとは思えない豆のようなかわいい形をしています。かなりキョーレツな苦みがありますが、タイ人は、やはり生で食べることがあるようです。噛むとプチッとはじける食感が楽しく、ゲーンに入っているのを食べていると、苦味もおいしさなんだと感じます。塩や味噌で炒めたり、餃子の皮に包んでおつまみ風に食べてみてください。ビールのお供にピッタリです。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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