コラム タイ野菜でべジフルライフ 第21回 ツルムラサキ
第21回 ツルムラサキ
ツルムラサキ
Malabar spinach
ผกัปลงั (パックプラン/パックパン)
タイ野菜でベジフルライフ♪ 2010年も残すところあとわずかとなりました。みなさまにとっては、どのような年でしたか?私は、「南国(タイ)の野菜たち」の執筆に追われましたが、出版後はセミナーで話す機会が増え、慌ただしくも充実した年となりました。セミナーでは、いつもどんなことを話そうかと悩むのですが、時々リクエストをいただくのが「タイの旬の野菜」です。タイにいて「旬」をリクエストされる方って、野菜や果物に関心が強いのでしょうね。年中見かける野菜でも、旬は栄養価が高く、特にカロテンやビタミンCは倍以上の差が出ると言われます。安くなるのもうれしいですね。また、野菜で季節を感じ、時間の流れを感じるのもいいものです。乾季には、葉ものが元気になります。昨年は、この時期に「(大葉)春菊:ตังโอ(๋タンオー)」を紹介しました。今回は、ツルムラサキを紹介しましょう。
緑の野菜が豊富なタイの市場の中で、ひときわツヤツヤと色鮮やかに目立つのがツルムラサキです。雨季の終わりから乾季が旬です。私の著書の中では、レシピを掲載せず簡単な説明にとどめているのですが、それは、料理の撮影が4月で入手できなかったためです。日本の旬は夏ですが、長い間、鑑賞用や染料として利用され、食用に盛んに栽培されるようになってまだ間もないそうです。私も日本では馴染みがなく、タイに来てから食べるようになりました。繁殖力が強く栽培が容易だそうで、旬の時期の市場で1束(100g強)が5バーツでした。タイってホントにいい国だな~としみじみ、しっかり恩恵にあずかりたいものです。
熱帯アジア原産で、英語のマラバルは、インド南部の海岸ですが、セイロンホウレンソウ、インディアンホウレンソウとも呼ばれ、この地域で古くから親しまれてきました。カルシウムがホウレンソウの3~4倍、ビタミンAとCも1.5倍あり、他にも鉄、カリウム、亜鉛、ビタミンKなど非常に栄養価の高い野菜です。紫茎種と緑茎種がありますが、タイは主にクセの少ない緑茎種が流通しています。独特のニオイやクセがありますが、品種も改良されており、加熱して味つけするとほとんど気になりません。加熱時は、葉と茎を別々にして、さらに太い茎は縦半分か斜めに切ると火の通りがよくなります。βカロテンも豊富なので油との相性もいいです。おひたし、和え物、炒めもの、味噌汁など一般的な青菜レシピを応用してみてください。パスタやスープなど洋風のアレンジや生あるいは湯通ししたものを野菜ジュースに入れてもいいでしょう。独特のヌメリがあり、ネバネバ好きにはたまりません。粘りの主成分であるムチンは、胃の粘膜を潤し、肝臓や腎臓機能を高める効果があるのでお酒のともにピッタリです。また、老化防止、便秘改善、疲労回復効果があります。加熱し過ぎはムチンの効果を減らしますので、1分以内を目安にしましょう。買う時は、緑が鮮やかで葉の光沢がいいもの、葉に厚みがあるもの、切り口がきれいなものを選んでください。
タイ人にとっては、花もご馳走のようでゲーン(スープ)にしてよく食されます。立派な葉や茎からは想像できないかわいらしい花ですので、こちらも見かけたら挑戦してみてください。
本記事は、WOM本誌掲載当時の各種情報に基づくものです。現在までに学術情報等を含め、改訂・変更等になっている場合がございます。栄養成分等の科学・学術情報については、最新の情報をご確認ください。
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road