タイ野菜でべジフルライフ

第14回 トウミョウ

トウミョウ
Pea Sprouts
โตวเหมียว(トーミヤオ)

暑くて料理したくない時、とにかく面倒な時、時間がない時、食欲がない時、簡単なスープやラーメンですませたいって思う時がありますよね~。でも、それでもちょっとは栄養をとっておきたいなあとも思ったり「野菜が入ってるもん」と、手抜きの言い訳が欲しくなることもありますね。そんな時は、さっと使えるお得意の食材というのを決めておくといいですね。困った時のナントカ。私にとってのそんな食材は、エンドウ(豌豆)の新芽である「トウミョウ」(豆苗)です。日本でお世話になったことはなくて、タイに来てから身近になった野菜です。他にはモヤシや以前に紹介したアマメシバ(パックワーンバーン)もよく使います。どれも新芽ですから、さっと洗って使えて、簡単に火が通ってしまう楽々野菜なのです。豆苗は、採取に手間がかかり収穫高も限られることから、中国料理の中でも高級な野菜とされてきました。近年は、豆苗用の専用種を使って水耕栽培が可能になりましたので、安定して安く手に入ります。

 

タイのスーパーで見かける豆苗には2種類あります。緑で葉が柔らかく、つる先がちょっとクルンクルンしたものと、カイワレ大根がおデブになったようなカイワレ型があります。これは、成長度合いによる違いです。タイで豆苗が根つきで売られているのを見たことはないですが、もし手に入ったら、根から5cm残して収穫すると、そこからまた育つので繰り返し収穫できます。

 

「グリーンピースってエンドウ豆なの?」と驚く人がたまにいます。エンドウは、グリーンピースとして未熟な豆を食べたり、成熟した「赤エンドウ」「青エンドウ」を加工して食べたりします。甘納豆の原料になることもあります。さらに、莢を食べるいわゆるサヤエンドウの他に、絹莢、スナップ(スナック)エンドウなどがあり、新芽の豆苗まで食べられるわけです。豆粒一つがどんな状態に変化してもおいしく食べられるなんて、なんともありがたい食材ですね。

 

エンドウそのものは、中央アジアから中近東が原産と言われ、古代エジプトやギリシャの時代から栽培されてきました。地中海から中国に伝わって豆苗としての栽培が始まったとされています。豆は体にいいとよく言われますが、スプラウトである豆苗は、さらに栄養価が高くなります。特にβカロテンは野菜の中でもトップクラスでホウレンソウ並、ビタミンCは2倍、その他にもビタミンK、B1、B2、葉酸など、見た目から想像がつかないほど栄養効果の高い野菜です。生でも食べられ(ちょっとワイルド)調理時間が短くてすむので、栄養の損失を抑えられます。βカロテンが豊富ですから、油との組み合わせもいいですね。炒める時には、先に塩を油に入れて熱してから、イッキに炒めて、最後に味を調整するとムラなく水っぽくなく仕上がります。

 

カイワレ型と緑のつる先とでは、風味も食感も違います。つる先のものは、エンドウらしい甘味と風味が強く、緑が濃い方が品質がいいとされています。カイワレの方は、繊維質が強くて歯ごたえがありますので、短めに切った方が食べやすいでしょう。まずは、いろいろ試してみてください。手軽さを実感できるでしょう。鍋やスープにさっと、サラダにさっと、炒めものにさっと、卵でさっと、さらには焼き肉にもさっとどうぞ。おひたしや和え物にも合います。手の込んだ料理ができない時も、インスタントの中にザクザク切って混ぜてしまえば、たちまち栄養価の高い食事に大変身!一人ご飯にもありがたい食材です。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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