タイ野菜でべジフルライフ

第19回 長ナス

長ナス
Long Eggplant
มะเขือยาว(マクアヤーオ)

タイでは日本と違う野菜にいろいろ驚かされますが、最初の頃にまず戸惑う野菜の一つがナスではないでしょうか。タイで一般的なナスは長い緑色で、紫の中長のナスしか知らない日本人にはちょっと衝撃です。以前は、この緑の長ナスしかなかったので、仕方なく買って料理をし、予想以上のおいしさに感動したという声をよく聞きました。最近は、日本と同じような紫のナスも売られていて、もはやそれしか買おうとしない方もいるようです。ナスにはそれぞれに特徴がありますので、うまく使い分けるといいですね。

 

タイのナスの種類の豊富さは、世界的にも注目されており、丸い形や卵型、豆粒大のナスなどがあり、色も白や黄色、緑や紫、マーブル状態があったりと、実にバラエティーに富んでいます。今回から2回、タイのナスを紹介します。

 

日本でもナスには多くのことわざがあって、それだけ身近な野菜なのでしょう。中でも「秋茄子は嫁に食わすな」というのは有名ですね。いくつか説がありますが、主に「秋茄子はおいしいから」と逆に「茄子は体を冷やすので妊婦によくないから」というのがあります。さてこの「体を冷やす」ですが、最近、冷え症やら低体温の方が多いせいか、ナスの肩身が狭くなっているようです。熱帯が原産だとか夏の野菜だとか、水分が多いからなど、古くから言われてきたのだとか。でも、ナスだけを毎日5本も10本も食べ続けるわけではないのだし、煮たり炒めたりと加熱して他の食材と組み合わせて食べることが多いはずです。人間、寒いと思えば温かいものを自然に求めるものです。冷え症の方は、個別の野菜にこだわるより、砂糖や塩分、よくない油が過多になっていないか注意して、運動不足や骨盤・背骨の歪み、ストレスなどの問題に向き合ってみてください。たしかに野菜は薬にも毒にもなりますが、量やバランスの問題でもあり、個々に神経質にならず、もっと楽しんでもいいのではないでしょうか。

 

ナスは、インド原産と言われ、アジアでは古くから食されてきました。長ナスは皮がかたいのですが、実が柔らかいので加熱するとトロトロになって甘味が増します。いつもつい紫を手にしてしまうという方、ぜひトライしてください。焼きナスや蒸しナス、スープ、パスタ、マリネ、ペーストなど柔らかさを楽しむ料理に特にお勧めです。焼きナスは、グリルやトースターをあらかじめ熱し、勇気を出して焦げるくらいに焼きます。中途半端だと剥きづらくなります。また、水にとると水っぽくなって香りもとんでしまいますので、アツアツを爪楊枝やフォークを使いながら剥いてください。2~3回で慣れますよ。焼く前に麺棒で軽く全体をポンポンと叩いてから焼くと剥きやすくなります。料理によっては、あらかじめ皮を剥いたり、縞模様に剥くなどして使ってください。

 

選び方のコツは、表面にツヤとハリがありキズがないもの、持ってみて重めのものがよいでしょう。保存は、熱帯原産の野菜なので、冷蔵庫で長期間保存すると低温障害を起こし、種から黒ずんだり風味が損なわれたりします。常温保存か冷蔵庫に入れる場合は、新聞紙に包んでください。栄養的には水分がほとんどですが、ビタミンCやカリウム、マンガンを含むので、むくみや高血圧の予防・改善にいいそうです。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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