タイ野菜でべジフルライフ

第26回 ドリアン

ドリアン
Durian
ทุเรียน(トゥリアン)

今回のテーマ「ドリアン」という文字を見て、もうページを閉じようとした方、ちょっと待ってください!「ドリアンなんて絶対に食べない」なんて方もいると思いますが、日本から遊びに来た人に説明する機会も多いはず。タイに住んでいる身としては、ちょっとドリアンについて基礎的なことを頭に入れておいた方がいいのではないかと思うのです。 今年の暑季は、寒いくらいの日が続いて始まりましたが、果物への影響が心配です。昨年は、暑過ぎて野菜の元気がなく、マナオも高くて気軽に使えませんでした。季節はずれの暑さも寒さも、雨が降っても降らなくても困ったもので、野菜や果物を育てて売るというのは、本当に大変なことなのですね。いつでも安く美味しく食べられるというのは、実はとてもありがたいことで、もっと大事に楽しみたいと思うこ の頃です。

 

タイのタラートは、乾季の終わりから順に旬を迎える果物でにぎやかになり、季節の移り変わりを感じます。マンゴーやジャックフルーツがまず出回り、やがてドリアンが登場して盛夏を告げ、ライチー、マ ンゴスチンへと移っていきます。中でも毎年ドリアン太りするほど心待ちにしている人も多いようで、「娘(嫁)を売りに出してでも食べたい」なんて言葉もあるほどです。一体、ドリアンのどこにそんなに魅力があるのでしょうか? ニオイがダメという人でも、3回食べればハマるとも言われています。1回食べてダメだった方、再挑戦してみませんか!? かくいう私は、酒飲みの万年ダイエッターなので控えておりますが、ドリアン製品は時々手にします。ドリアンチップスやドライドリアン、キャンディーなどはお土産にもしますが、羊羹と月餅はどうにも苦手です。

 

マレー諸島原産で、マレー語の「棘」という意味があります。外皮に大きな鋭い棘があり、とても素手で持ち運べるものではありませんが、日本に持ち込みができる数少ない果物でもあります。もっとも商売しようという人でなければ、冷凍して運ぶのをおすすめします。

 

日本人には、モントーン種というニオイの少ない品種が人気です。最近は、無臭ドリアンの開発もされているそうです。食べてみたいけれどニオイがダメという方は、冷凍するといいでしょう。ただし、食後のゲップは、その保証はできません。割ってから時間が経つと味が落ちますので、果樹園で採れたてを食べるのがベストです。果肉の中心の種のまわりだけをいただくという贅沢なワザもあります。この部分はとてもクリーミーで最もおいしいのです。ニオイがきつめの外側は、ドリアンラバーに食べてもらいましょう。

 

ドリアンは、「果物の王様」と呼ばれていますが、もともとは、とても栄養価が高く、王様が精力増強のために食していたので「王様の果物」と呼ばれていたそうです。実際にカリウムやマグネシウム、ビタミンBなどが豊富で、栄養をとりたい貧血気味の方や疲れ気味の方、妊婦さんにおすすめです。逆にメタボや持病のある方は食べ過ぎには注意してください。カオニアオドリアンなどは自殺行為に近いかと…。また、「アルコールと一緒に食すと危ない」とよく言われます。腹の中で発酵するだの、血糖値や血圧が急激に上がるだの言われますが、時々死亡記事をみかけますので、やめた方がよさそうです。ただこれは量の問題でもあり、アルコールを摂らなくても、食べ過ぎると心臓がバクバクしたり、腹部膨満感や吐き気がしたり、体が暑くて眠れないなど苦しむことになります。通常は、1~2房で十分なのではないでしょうか。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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