コラム お金の知識を高めるコラム Vol.30 香港の存在価値

お金の知識を高めるコラム

Vol.30 香港の存在価値

香港は中国に返還されながらも、中国の一部でありながら、中国本土とは異なる民主主義と自由経済体制を維持してきました。この香港の特殊な状況は、社会的な矛盾や政治的軋轢を蓄積し、その結果、2019年6月から大規模なデモや反政府活動が起こっています。

 

しかし、世界自由貿易体制の枠組みに中国をフィットさせ、中国の台頭を経済面で支えているのも香港なのです。例えば、中国との貿易や投資をする際には、中国・香港間の優遇税制措置があります。そのため、外国の企業や投資家は、中国本土内にある企業や設備投資のために中継点として香港を活用しています。また、中国からの対外投資の多くも、香港を経由して行われています。香港は中国にとって、資金調達や貿易や投資で中国と世界をつなぐパイプ役としてなくてはならない存在です。低税率、資本移動の自由、国際金融世界の共通言語である英語の使用といった面で、いま香港が果たしている国際金融都市としての役割は、とても中国本土の都市には担えないのです。

 

株式市場としての香港(香港証券取引所)は、時価総額ベースで見ると、ニューヨーク証券取引所、ナスダックにつぐ三番目の証券取引所です。しかしIPO金額ではニューヨーク証券取引所と毎年世界一を競り合います。2018年は香港が世界一位でした。人民元に限らず、主要通貨で調達が可能な香港市場には、大きなアドバンテージがあります。香港ドルは米ドルに連動(ペッグ制)しているうえ、香港には本土と違って資本規制がないため、香港市場へ上場したほうが資金凍結などの心配がなく、資金も集まりやすいのです。
借り入れでもまた、香港には一日の長があります。中国本土の企業は香港を通じ、銀行の融資、社債の発行によって巨額な資金を調達しています。金額のみならず、調達方法が多様であり、長期の資金を含めて調達できること、通貨のバリエーションも多様であることは、香港金融市場の大きな利点です。特に外貨建ての場合の調達は、中国の政府系銀行や巨大なユニコーン企業でも、香港での発行を選択しています。

 

香港では、オフショア人民元の市場も発達しています。中国政府は中国本土から国外への資本流出を厳しく規制しています。この資本規制は2017年以降、非常に厳格になりました。そのため、貿易決済にしても、金融取引にしても、国際間決済は、人民元建てであっても、香港で行われることがほとんどです。オフショア人民元に関しては、融資、債券、為替取引のいずれにおいても、香港は世界最大の市場です。

 

先鋭化が進む香港での反政府運動は、一国二制度の将来に影を投げかけ、香港の優位性や将来に疑問を抱かせたことも事実でしょう。しかし、国際金融の世界で、優位な機能を持ち、その機能を果たすことを期待されていることは、変わらないと考えています。

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    長谷川 建一

    国際投資ストラテジスト

    シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

    著書
    ブログ: HASEKEN
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