コラム お金の知識を高めるコラム Vol.109 米国株・最高値圏で推移〜AI投資と堅調な企業業績が相場を下支え

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Vol.109 米国株・最高値圏で推移〜AI投資と堅調な企業業績が相場を下支え

2026年も好調さを維持している米国株式市場は、人工知能(AI)関連投資の拡大と企業業績の底堅さを背景に、8月に入っても高値圏で推移しています。S&P500種指数は最高値を更新し、7,800を上回りました。AI向けデータセンターや半導体、電力インフラへの投資が実体経済にも広がり、相場を下支えしています。主要大型ハイテク株「マグニフィセント・セブン」が引き続き相場を牽引し、ナスダック総合指数も過去最高水準に達しています。

市場を押し上げた要因の一つは、インフレ鈍化の兆しです。7月のPPI(卸売物価指数)は前月比横ばい、前年比では低下傾向を示し、FRBの利上げ観測を後退させたことが投資家心理を支えました。

市場を支えているのは、AI関連銘柄への期待だけではありません。データセンター建設、GPUやサーバー需要、電力設備、クラウドサービスへの投資が広がり、建設、半導体、電力、通信など幅広い産業に需要を生み出しています。こうした実需の拡大が、企業収益や設備投資の底堅さにつながっています。

実際に、S&P500企業の決算では90%以上が市場予想を上回る利益を計上し、企業収益面の強さも相場を支援しています。AI投資は一部の大型ハイテク企業に限らず、製造装置、部品、素材、空調、ITサービスなどにも波及し、実体経済の強さを示していると評価されています。

ただし、先行きには不安定な要素も残っています。インフレが再び強まれば、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待が後退し、長期金利の上昇を通じて株価の重荷となる可能性があります。また、これまでの高金利が個人消費や企業投資に遅れて影響を及ぼせば、景気減速や景気後退への懸念が強まるおそれもあります。

米国株市場は、AI投資と企業業績の好調に支えられていますが、強気一辺倒ではありません。実体経済の底堅さが相場を下支えする一方で、インフレ懸念、景気後退リスク、原油価格の変動などが投資家心理を揺らしています。最高値圏で推移する相場は、成長期待と警戒感が交錯する局面に入っています。

長谷川 建一

国際投資ストラテジスト

シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

著書
ブログ: HASEKEN
寄稿中

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