コラム 元BANGKOK駐妻通信 第18回 タイの魅力を伝える仕事に出会えました

元BANGKOK駐妻通信

第18回 タイの魅力を伝える仕事に出会えました

 バンコク駐妻生活は、1998年から2003年の5年間。暮らし始めたのは雨季だったので、ほぼ毎日、大きな雷が落ちるたびに停電。道はスコールのたびに膝上まで水没。1歳半の息子を抱え、不安でいっぱいでした。

でも、道行くタイの人たちは息子ににっこり、ドアも必ず開けてくれる。食事に行けば、抱っこしていてあげるからゆっくり食べなさい、と。良い運転手とアヤさんにも恵まれ、2歳から入ったインター幼稚園では様々な国のママたちと仲良くなり、子供を預けあったりして助け合い、今のようにSNSもなく情報も口コミのみ、と不便な時代でしたが、おかげでたくましくもなり、楽しく子育てができました。

そして、食いしん坊で料理好きな私はタイ料理にはまっていきました。駐妻に人気の料理教室を巡り、次第にもっと深く勉強したくなり、タイ料理の大家Wandee先生の料理学校へ。クロック(石臼)でハーブやスパイスを叩いて作る香り豊かで上品な先生のタイ料理の虜になり、3年半通いました。習得したレシピは、宮廷料理、地方料理、屋台や食堂料理、お菓子など400を超えました。

訳あって、シングルマザーになり、本帰国。料理研究家の妹のアシスタントをしながら、タイ料理教室をスタートさせました。現在、タイ料理研究家、また料理人として、レシピ提供やイベント講師、有名シェフとのコラボイベント、外食産業コンサル、ステージでのライブクッキングショーなど、幅広くタイ料理の魅力を伝える仕事をしています。2013年には、WOMで私の特集を組んでいただき、バンコクでのイベントも行いました。駐妻時代には想像すらできなかったけど、バンコクで暮らした時間があったから、今の私があります。お客様の「タイ料理って美味しいね!」の笑顔は私の一番の宝物。タイとタイ料理の魅力を広く伝えることが私のできる一番の恩返しだと思っています。

鈴木都

タイ料理研究家・料理人。日本や海外での講演や料理提供、レストランのプロデュース、調理指導。テレビラジオ出演。雑誌、企業サイトにレシピを掲載。著書に〈本場仕込みのタイごはん〉グラフィック社、〈はじめてのタイごはん〉ナツメ出版があります

関連記事...

バックナンバー情報..