コラム 元BANGKOK駐妻通信 第15回 いつか微笑みを届けられる自分に

元BANGKOK駐妻通信

第15回 いつか微笑みを届けられる自分に

夫に駐在の辞令が出て一カ月足らず、準備もままならない状態でタイにやってきました。タイに来るのは生まれて初めて、海外で生活することも初めて、タイ語は全くわからず、英語もほとんど出来ない、知っている人は夫だけという、ないないづくしから私のタイ生活はスタートしました。お買い物に行って『いくら?』と聞けても、相手が答えてくれた数字がわからずお金が払えない、スーパーへお酢を買いに行けば、お酢がわからず2時間ウロウロ… 最初はそんなことの連続で困り果てることばかりでした。

 

でも、そんなとき、見ず知らずのタイの方たちが優しく手を差し伸べて助けてくれました。数字の言い方を教えてくれたり、スーパーの店員さんたちは、買い物に行くと『今日は何が欲しいの?』(…みたいな感じのこと)と優しい笑顔で話しかけてきてくれました。夫が仕事に出かけていない時間、ひとりぼっちで過ごしていた私にとっては本当に有難く、今でも涙が出てきてしまうほど心があたたかになる、タイでの嬉しい思い出の一つです。

 

しばらくすると友人もでき、それと同じくして、情報量も格段に増え、生活はより便利で充実したものになりました。さまざまなサークルやお稽古ごとにも積極的に参加させて頂き、楽しい時間を過ごしました。

 

中でも子供たちに向けてのボランティア活動は、最も心に残る思い出です。一つは日本人会子ども図書館の活動で、幼稚園でおはなしを語ること。もう一つはチェンマイの孤児院で、子どもたちへおもちゃを届けたり、一緒に遊んだりすることのお手伝いです。日本の子供たち、チェンマイの子供たち、それぞれ環境は違うけれど、みんな、キラッキラの目で私たちを迎えてくれ、『なにか役にたてたら…』と考えていた自分自身が、逆に子供たちからパワーをもらいました。駐在生活3年間、こんなにも濃厚で様々なことを経験することが出来た時間は過去にありませんでした。そして、尊敬する師、素晴らしい仲間とも出会うことが出来ました。これも全て、初めてタイに来て不安ばかりのとき、あたたかく優しく接してくれたタイの方々が私に勇気を与えてくれたお陰です。いつか少しずつでも、この幸せな気持ちをお返ししていきたいな、そうなりたい! と思っています。

池田康子

2016年4月から2019年4月までタイ在住。もとメーカー勤務。趣味はビール、オシャベリ、食べること、歌うこと♪

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