第33回 住めば都、タイ

周りにタイ好きな友人が多く、来タイが決まったときは羨ましがられましたが、私はイメージがほとんどなく、実際はかなり都会で驚きました。私は絵の修行でオーストラリアにワーホリへ行った経験がありますが、興味を持ったことのない国で暮らすことは複雑な気持ちでした。チットロム在住だった為、なかなか友人ができず、主人も仕事で遅くなったり出張でほとんど家におらず、寂しい思いをしたのを覚えています。嫌な部分ばかり目についてホームシックになった時期もありましたが、タイの魅力について考えるようになり、もっと知ってみようと思いました。その後タイ語、マクラメ、タイ地図、料理、カービング、とタイらしい習い事を体験し、自分が楽しめることをしようと行動してからは、気を許せる友人と出会うこともできました。元々フットワークは軽いので、ライブに行ったり、周りが驚くローカルな場所や、タイ国内外の旅行にも沢山行きました。気づけばバスや舟にも乗り、屋台料理やオーダーメイドにも挑戦し、タイに馴染んでいきました。NIPPON HAKUや Japan Remix、ハンドメイドマーケットにイベントスタッフとして参加したり、アユタヤマラソンに出場したことは、特に思い出深いです。珍しいフルーツやオーガニック野菜、ハンドメイド雑貨、手頃な価格のマッサージや美容製品、多くの発見と貴重な体験ができ、今ではタイが大好きです。
　生活が充実してきた頃、帰国が決まったのは本当に突然で残念でした。日本到着後、東京の実家で隔離生活を経て、その後大阪へ。土地勘がなく知り合いも全くいない、再びのゼロスタートでしたが、タイから関西帰国になった友人とも再会でき、大阪もすっかり好きになり、改めて住めば都と感じています。現在妊活中のため、元々働いていた美容業界には復帰せず、大好きな絵の仕事（チョークアート講師）をしています。慣れた頃、また離れることになるのが辛いですが、沢山のことを知れるチャンスにもなりますし、自分の気持ちの在り方で充実度は変わります。焦ったり悩んだりすることもありますが、自分のペースを大切に歩んでいきたいと思います。