相談相手と平行な視線
前回は相談者の話をカウンセラーの偏見なしに聞いてくださいと言いました。それについて具体的に説明いたします。対面でカウンセリングをする場合、真正面若しくははす向かいに座って行います。それは相談者がどちらの方が話やすいかによるからです。人によっては真正面に座られると話しづらいという相談者もいらっしゃるので、その場合は真正面を避けます。
電話の場合はまた話が違います。電話であるがゆえに相談者のイメージに合わせます。相談者のイメージはわかりませんが、電話ではカウンセラーは横に座っているというイメージでカウンセリングを進めて欲しいのです。なぜなら相談者が話す内容を、相談者の目線で知りたいからです。言うなれば「相談者の肩越しに話を聞く」ということです。
多くのカウンセラーがやってしまうミスは、相談者の話を聞きそこからその人のフレームを予測し、自分のフレームと比べて良い悪いを決めてしまうところにありました。「貴方の思考のフレームは変だから私が正しいフレームに治してあげる」というものです。それは相談者のフレームとカウンセラーのフレームを対峙させてしまうところから始まります。
カウンセラーは自分のフレームを出すな
相談者が話をする時、カウンセラーのフレームを聞きたい人に今まで会ったことがありません。今までの経験から相談者は自分のフレームを知ってほしい、そのうえでそれでもいいと認めてほしい、というものがほとんどです。話の初めに「菊本さんの意見を聞きたいのですが」と言ったとしても、それは「まず私の話を菊本さんが理解してからね」というのが前提です。
最後に話をする人の肩越しにものを見るという問題を一つ。
流産を経験した方に「貴方は流産するような事をしたんじゃないの?」さすがにこの言葉をかける人はいないでしょうが、それでは友人が「流産をした」と言ってきたら二つのどちらを言ってしまいそうですか?「次にまたチャンスがあるよ」と「それは悲しい経験だったね」という二つの言葉かけ。また、相手の肩越しにものを見るというのはどちらだと思いますか?
友人を元気づけるのはいいことですが、いきなり励ますことはせず、相手の世界にどっぷり浸かり、相手の話を充分理解してから励ますようにしましょう。
カウンセリングもコミュニケーションも全てここから始まります。