コラム 聞き上手な日々 第11回「話せばわかる」って本当!? ~話し合わないことを選択する勇気~

聞き上手な日々

第11回「話せばわかる」って本当!? ~話し合わないことを選択する勇気~

最近、このような言葉に触れる機会が多くありませんか。「まずは何でも話してみることです。話せばわかりあえます」。
教育界には「親子は何でも話し合い、お互いを理解し合うことが大切」という考え方があります。でも私は電話カウンセリングの中で「子どもと話し合わず、その件については黙っていること」の重要性を思い知るようなお話を2件、それぞれ別のクライエント様からいただきました。
親として「子どもに向けて自分の気持ちを伝えたい」「子どもの気持ちも聞きたい」。これらはごくごく一般的な親としての希望であると思います。でも中には、お子さんに対して「子どもから話を聞き出さないこと」「子どもに親の気持ちを伝えないこと」を積極的に選択しているお母様方がいらっしゃいます。
もうお一人の方の理由はこうです。お子さんは8歳。最近不登校気味です。「私は自分の気持ちを息子にわかってほしいですし、本当は伝えたいです。こんなに一生懸命あなたの事を考えているのよ、心配しているのよ、と。でもそんなことは本人には言いませんし、言えません。だって“息子のことを一生懸命考えていることや心配していること”は私が勝手にしていることですから」
積極的に「聞き出さない」「伝えない」ことで、子どもが得られるとても大きなものが3つあります。

1)「いつでも私を信じて見守ってくれている」という尊重されている感覚、
2)「私の話をいつも楽しそうに肯定的に聞いてくれる」という安心感、
3)「“あなたのためだから”と押し付けられない」という安全感。

 

お子さんの年齢や話の内容によっては話し合わない。そんな選択をする勇気あるクライエント様に対し、私は尊敬の念を抱いたのでした。これらの事例はたまたま親子関係についてですが、夫婦、恋人、友人、仕事仲間…もしかしたらすべての人間関係に応用できるように思います。

追伸:このコラムは頑張って1,000文字にまとめました! この記事の内容をもっと詳しく知りたい方は「子育てにプロのテクニックをプラス!」で検索

あさくら ゆかり

幼稚園教諭・保育士・小学校学級支援員を経て2007年より心理カウンセラーに。14年間で11,000件の電話カウンセリング実施、現在も365日活動中。カウンセラー養成講座の講師も務める。「子どもへの対応は人間関係の基本。誰にでも、大人にも通じる!」をモットーに、心理学・コミュニケーションについて日々学びつつ意欲的に発信し続けている。著書に「はげます技術」(サンマーク出版)。夫、20代の2人娘の4人家族。(株)kikiwell所属カウンセラー。(社)日本ライトカウンセリング協会代表理事

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