コラム タイ野菜でべジフルライフ 第39回 キンサイ(クンチャーイ)

タイ野菜でべジフルライフ

第39回 キンサイ(クンチャーイ)

キンサイ(芹菜)
Chinese celery
ข้ึนฉ่าย(クンチャーイ)

弊著「タイ(南国)の野菜たち」の執筆にあたって悩んだことの一つが「どういう定義で分類するか?」「掲載順は?」です。五十音順にするには、日本名を知らない人には不便ですし、タイ語順では尚更です。得体の知れない野菜が多いので、色で分けると便利かと思ったのですが、結局は、葉茎菜、根菜、芋類、果菜、ハーブ、花など一般的な分類にしました。そうすると、どこに分類したらいいか悩ましいものが出てきます。タマネギは、根菜に分類しましたが、本当は根ではなく鱗茎と呼ばれるもので、茎菜に分類されることもあります。
今回のテーマ「キンサイ」も葉茎菜なのかハーブなのかでずいぶんと悩みました。では、パクチーは?パクチーは、なんかハーブって感じがします。それならよく似ているキンサイもハーブに入れるべきでしょうか?そもそも野菜とハーブの違いって!?みなさんは、どう思います?

 

ちなみに厚生省の定義では、「ハーブとは、食品に風味付けの目的で薬味として比較的少量使用される種々の主に草本植物の葉、茎、根及び花からなり、生のまま、または乾燥したものが使用されるものをいう」そうです。また、「スパイスとは、食品に風味付けの目的で比較的少量使用される種々の植物由来の芳香性樹皮、根、根茎、蕾、種子、果実、または果皮をいう」となっております。キーワードのひとつに「比較的少量」というのがありますね。 最終的には、キンサイは、葉茎菜に分類しました。「野菜か果物か?」の論争もあるように、誰が誰を思って分類するかが大事なのでしょう。ういうことを考えてみるのも野菜を別の角度から見るという楽しみの一つではあります。

 

ヨーロッパ原産で、古代エジプトやギリシャ時代から薬用・香料として利用され、野菜として広がったのは、17世紀以降と言われます。

 

キンサイは、野生種に近い風味が豊かな「スープセロリ」が中国で改良されたもので、中国からタイに伝わりました。在タイ日本人は「タイセロリ」と呼ぶ人も多いようです。日本へは、豊臣秀吉の時代に加藤清正によって持ち込まれ「キヨマサニンジン(清正人参)」と呼ばれていましたが、当時はあまりひろまらなかったようです。細い茎と葉は、パクチーに似ていますが、実際、好き嫌いの度合いもパクチーに近いものがあるようですね。「良薬口に苦し」なのでしょうか? 薬用として利用されてきただけあって、様々な効能をもっています。カロテンやカルシウム、ビタミンB2も豊富ですが、特に注目されるのは、「テーブルの上の降圧剤」と呼べるほどカリウムを含み、利尿効果や解毒作用があります。茎の方がクセが少なくシャキシャキとした歯触りで食べやすいのですが、栄養は、葉の方にはるかに多く含んでいます。特有の香りに含まれている精油成分は、食欲増進や精神安定、頭痛にも効果があるそうです。香りが強く葉が元気な物を選びます。保存は、新聞紙にくるんで冷蔵庫に立てるのがいいでしょう。生でも加熱してもおいしく、加熱した方が香りを楽しめますが、加熱し過ぎは香りがとんでしまいます。ヤムやスープ、肉や魚の炒め物などによく利用されています。タイスキのタレにも使われていますが、具として食べてもおいしいですね。日こ本人におすすめなのは、キンピラと漬物、佃煮でしょうか。ご飯と一緒にモリモリ食べて下さい。

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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