コラム タイ野菜でべジフルライフ 第2回 四角豆(トゥアプー)
第2回 四角豆(トゥアプー)
四角豆(シカクマメ/うりずん)
WINGED BEAN, FOUR-ANGLED BEAN
ถั่วพู(トゥアプー)
充実したベジフルライフを送るには、ワクワクが欠かせません。見たことのない野菜を見て「これは何?」「どう料理するの?」と思える好奇心、それを持てるかどうかで、野菜とのつきあい、料理の幅が違ってきます。誰だって初めての野菜を見たら興味を持ちそうなものですが、以前の私は、タイ野菜ってディープ過ぎて、最初から付き合うことをあきらめていました。スーパーにある野菜でも、視界に入れようともせず、存在すら気がつかないものもありました。
何年も無視していた野菜の一つに「四角豆」があります。豆とは思えないヒラヒラのついた異様な姿、スーパーで目にしても異星人の食べ物かという感覚で、我が家の食卓に上ることなど考えもしませんでした。タイ料理の「四角豆のサラダ(ヤム・トゥアプー)」をおいしいと思って食べることはあっても、それは甘辛い濃いタレのおかげであって、四角豆がおいしい野菜だとは思わなかったのです。
ところが、実はこれ、日本人の間でも知る人ぞ知る美味しい野菜だったようで、友達のすすめで食べてみたら…あら、ホント、おいし~!見た目と違う上品な味にビックリ、茹でてマヨネーズをつけて食べるだけで大満足です。これをつまみにいくらでもお酒が飲めちゃいます。どうしてこんなにおいし~野菜を無視していたのでしょう。なんだか損した気分。不気味と思っていたヒラヒラがフリルのようにキュートに見えてきました。今では未知との遭遇を求めてワクワクしながらスーパーや市場に出かけています。
原産地ははっきりしませんが、熱帯各地で広く栽培されています。日本でも沖縄で「うりずん」と呼ばれて親しまれています。沖縄には、夏の野菜不足を補うために1980年代に導入されました。それだけ栄養がたっぷりということで、良質のたんぱく質を含み、カルシウム、カロテン、ビタミンB1、ビタミンC、食物繊維が豊富です。栽培しやすく、害虫がつきにくいので無農薬で育てやすいそうです。ほのかな甘さとかすかな苦味がありますが、加熱すればほとんど気になりません。塩を加えた熱湯で茹でますが、茹でる時間(30秒~3分)でビミョーに味がかわりますので、お好みの茹で加減をみつけてください。タイ人は、生でも食べています。切らずに食べる場合は、筋を取った方がいいでしょう。サラダや和え物、炒め物やスープなどなんにでも合い、ちらし寿司など形や色を活かして華やかに演出するのにもってこいです。揚げ物や煮物、炒め物にする場合でも、茹でてから最後に加える方が美しく仕上がります。時々、茹でて変色するものがありますが、捨てるほどの問題はありません。切り方で印象がかわりますから、料理にあわせて楽しんでください(切るのは茹でてからです)。熱帯の野菜なので冷蔵庫にいれると変色しやすいため、常温で保存します。古くなるとヒダが黒ずんできますので、買ったら早めに食べるのがベスト。
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road