タイ野菜でべジフルライフ

第15回トウガン

冬瓜(トウガン)
Wax gourd/Winter melon
ฟักเขียว(ファクキヤオ)

タイは、どこでもいくらでも野菜や果物がすくすく育つと言われます。大都会のバンコクでも、バナナやパパイヤなどが道端や空き地に生えていて驚かされますね。料理に興味を持つまでは、バナナの花がどういうものかわからなかったのですが、近所の空き地にバナナの木があり、よく見たらしょっちゅう花をつけていました。毎日、通っている道でも気がつかないだけで、注意して歩くといろんな発見があるものです。先日は、通勤途中の空き地で冬瓜を発見しました。なぜ、こんなところに冬瓜!?なんだかタイってすごいなーと感動しました。みなさんもよく見て歩くと、驚きの発見があるかもしれませんよ!

 

さて、この冬瓜、大きなものは1メートル以上、10キロ以上になります。スーパーで売られているのは比較的小ぶりですが、それでも大きいですね。この大きさになんとなく手を出すのをためらっている方も多いのではないでしょうか。持って帰るのに重いし、包丁を入れるのも大変そうだし、どう料理したらいいかよくわからないし、残してしまうに決まっているし…なんて、買わず嫌いになってませんか?ちょっと勇気を出して使ってみると、おいしいのはもちろん、思った以上の使い勝手のよさにうれしくなるはずです。1個でいろんな料理が楽しめますから飽きることもありません。スーパーで常に売られている野菜ですので、試したことがない方は、ぜひ、挑戦してみてください。

 

「冬」という字が入っていますが、インドから中国南部にかけての暑い地域が原産です。長く保存ができて、冬にも食べられることから冬瓜と呼ばれるようです。水分が95%でろくに栄養がないと思われていますが、のどの渇きを癒し、むくみをとったり、熱を下げる効果があり、漢方では重宝されてきました。ビタミンCやカリウムを多く含みますので、日本では夏バテ対策の野菜としてよく取り上げられています。冬瓜は食べやすく、1度に多く食べられるので、栄養効果が期待できます。また、利尿作用があって解毒効果が高く、カロリーが低いことから、糖尿病、腎臓病、高血圧や肥満の予防や改善に利用されています。

 

選ぶポイントは、粉が均一についていて、皮にシワがなくずっしりと重いものがいいでしょう。皮を剥いて食べますが、皮もキンピラなどに活用できます。種も栄養たっぷりですので、気にならなければそのまま食べましょう。漢方では皮や種を重視しています。ただ、種が大きくてかたくなっていることもあるので、切ってみて料理に合わせて取り除くかどうか判断してください。保存は、まるごと冷暗所に置けば1年もつそうですので、いざという時の常備野菜にしてもいいですね。カットしたものはラップに包んで冷蔵庫で保存しましょう。大きくて使いきれない場合は、皮を剥いて生のまま、あるいは下茹でして冷凍保存が可能です。

 

タイでは、いろいろな種類のスープに使われています。クセがなく主張しないので、トウガンと気がつかずに食べていることも多いと思います(カオマンガイにつくスープとか)。また、煮物や炒め物の他、デザートにも使われています。生は青臭くてきついですが、茹でればサラダにも活用できます。ほんのり上品なさわやかさがあり、よくあんかけに利用されますが、これも和洋中といろいろなダシで試してみてください。料理をする時に一つのパターンにとらわれず、自分が知っているあらゆる料理法を試すつもりで向き合うと、いっきに料理上手になった気分で楽しめます。まさに自分色に染められる野菜なのです。

 

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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