コラム お金の知識を高めるコラム Vol.8 自分の加入している年金を理解していますか? (企業年金編)

お金の知識を高めるコラム

Vol.8 自分の加入している年金を理解していますか? (企業年金編)

 企業年金とは、企業が従業員に対して年金を支給する仕組みです。古くは、厚生年金基金や税制適格退職年金という制度で、高度成長期には制度として力を発揮しました。

 

 厚生年金基金は昭和41年に始まった、企業年金の代表的な制度です。「厚生年金基金」という別法人が基金の運営をします。名前が似ているため国が運営する「厚生年金保険」と混同されがちですが、別の制度です。

 

 厚生年金基金は、国に代わって行う「代行部分」と、厚生年金基金の「独自部分」とに、大きく分かれます。「代行部分」では、国に代わって厚生年金保険の掛け金を集めたり、掛け金に見合った額の給付をします。一方、「独自部分」は、それぞれの「規約」に基づいて掛け金も給付も決まります。厚生年金基金には会社単位で加入するため、基金に入っている会社の従業員だけが加入することになります。会社に勤める人であれば原則加入している厚生年金保険とは違い、厚生年金基金に入っているかどうかは勤めている会社によります。

 

 厚生年金基金は、国に支払う厚生年金の保険料の一部を国ではなく別に作ったファンド(基金)に入れ、その基金を上手く運用することで国の厚生年金保険より手厚く年金を給付する制度でした。設計上は、厚生年金基金に加入している人は、厚生年金保険から給付される年金よりも多額の年金が約束されていました。しかし、バブル崩壊後、従業員に約束していたこの増額部分(利息分)を基金の運用から得ることが難しくなりました。低金利→マイナス金利と金融緩和政策が長く続く中、運用難によって、一部には、必要な年金の原資が準備できない企業も出てきました。給付の削減や「代行部分」の返上を行う企業年金基金や会社が出たり、現在価値分のお金を従業員に渡して、基金そのものを解散するケースも多数発生するなど、社会問題化しました。ピーク時には1800以上もあった基金でしたが、現在は600基金程度に減少しています。

長谷川 建一

国際投資ストラテジスト

シティバンクグループ日本及びニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。 2004 年末に、東京三菱銀行(現三菱UFJ 銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009 年からは国際部門に移りアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率い2010 年には香港で同事業を立ち上げた。その後、2015 年香港でNippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank を創業。2020 年には、Wells Japan Holdingsに参画し、新たな金融サービスの開発に取り組んでいる。世界の投資商品や投資戦略、アジア事情に精通。わかりやすい解説には定評がある。香港をはじめ、日本やアジア各地での講演も多数。京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)

寄稿中

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