コラム Dr.MANAのセンシュアルエイジング Vol.75 美容相談本音トーク(その2)たかがシミ、されどシミの真実

Dr.MANAのセンシュアルエイジング

シミについての質問は、美容の世界ではポピュラーなトピックですね。ネットの広告を見ていると、シミがまるで魔法のように翌日には消え去るかのようなイメージがよくありますが、現実はそう甘くはありません。時には、そんな広告が法律の線を越えていることも。しかし、多くの場合は法律の境界線を巧みに潜り抜けているので、私たちはロジカルに考える必要があります。 シミにはいくつも種類があり、それぞれに対処法が違います。これらは肉眼での鑑別が難しいことも多々あります。私たち皮膚科医は、形状だけでなく出現部位や年齢、妊娠出産の既往、ピルの使用、スキンケア方法などを総合的に考慮して、診断を下します。病理検査を行わない限り、診断は100%確実ではないため、これは確率の問題になります。

シミ治療には慎重なステップを踏みます。化粧品一塗りで翌日シミが消えるなら、それは恐らくシミではなく、ただの垢かもしれません。万能な美白剤やレーザー治療も存在しません。特にレーザー治療は、濃いシミほど反応が良い一方で、薄いシミは治療が難しく、職人技が求められます。また炎症後の色素沈着や、逆に回数を重ねると色素脱出のリスクもあり、ケアが必要です。

そして、「肝斑」というシミについて。これは特に厄介で、基本的には擦らないこと、徹底したUVカット、美白剤の使用、トランサミンやビタミンCの内服などが推奨されます。レーザー治療は基本的に避け、レーザートーニングで薄くする方法もひところ話題になりましたが、止めると再発することも多いです。女性ホルモンの影響で、治療しても再発したり濃くなりやすいこともあります。なので、アラフィフの方々には時に経過観察(閉経で基本薄くなるので)をお勧めすることも。

シミの問題を真剣に解決したいなら、自己判断はせず、しっかりとした知識を持つ皮膚科専門医の元を訪れてください。インフルエンサーの個人体験の推奨法ではなく、専門家のアドバイスに耳を傾け、正しい治療を受けることが大切です。

 

Dr. MANA(岩本 麻奈)

一般社団法人・日本コスメティック協会名誉理事長/ナチュラルハーモニークリニック顧問医師/エッセイスト/コスメプロデューサー/美容ジャーナリスト 
皮膚科専門医。20年に渡るフランス滞在ののち、東洋のパリ“プノンペン”に転居。女性を元気に美しくする講演活動を続けている。「パリのマダムに生涯恋愛現役の秘訣を学ぶ」「生涯男性現役」(ディスカヴァー トゥエンティワン)「フランスの教育・子育てから学ぶ 、人生に消しゴムを使わない生き方」(日本経済新聞出版社)など、美容やライフスタイルに関する著作多数。近著は「結婚という呪いから逃げられる生き方」(ワニブックス)

公式HP: dr-mana.com   公式ブログ: ameblo.jp/dr-mana

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