コラム 聞き上手な日々 第8回 カウンセリングの現場からーカウンセラー自身の偏見に気を付ける

聞き上手な日々

第8回 カウンセリングの現場からーカウンセラー自身の偏見に気を付ける

カウンセラー自身の偏見に気を付ける

前回、カウンセリングの現場ではクライエントは「解決できないことを知っている」と言うことを書きました。今回はカウンセラーについてです。最も重要なことはカウンセラー自身のものの見方です。これがガチガチに硬いとクライエントとの意見が食い違った時に、クライエントに対して「貴方の考え方はおかしい」となり、クライエントの考えをそれ以上受け入れることができません。カウンセラーはいかなる時も柔軟な思考であることが大事です。

ネガティブはちっとも悪くない

カウンセリングをしていると、「もっとポジティブにものを考えるようになりたい」等と言われることがあります。ネガティブ人間だからポジティブ人間になりたいと言うのです。

一般的には「体を動かせ」、「他人と比較しない」、「ポジティブな言い方に変える」等ですが、前回も言いましたが、これらは全てネットの中にあります。更にクライエントは「それができないからカウンセリング受けているのですが」と言う気持ちになっています。

今回のコロナ禍でもそうですが、人はストレスが溜まると意地悪な気持ちが頭をもたげます。皆さんもイライラしていると、些細なことで怒ったりしていませんか? それと同じようにクライエントの中にはカウンセラーの言葉を素直に受け取れない方もいます。このような場合はクライエントのネガティブな思考をポジティブに変えようとするのではなく、ネガティブなまま生きていくにはどうすればいいかを一緒に考えるのです。

キキウェルはここが他のカウンセリングと違うところです。世の中にポジティブ、健康的、友達...。このような言葉が世の中に氾濫するとそこに乗れない人たちが必ずいます。その人達はそれに乗ろうとしますがうまく乗れません。理由はそれぞれありますが、極端でない限りその人の性格の範疇として受け止めています。なぜならカウンセラーはその人達を教育や説得をする立場にはないからです。クライエントは大人です。しかも社会的な地位は私より高い人も数多くいます。

カウンセラーはクライエントに接することにより、人の明暗、正常異常などを知ることになります。カウンセラーの頭が固く「貴方は異常な思考や認知だから、私が正常な認知を教えてあげる」という姿勢をとると、クライエントは離れていきます。どのような事を言われても、先ずは柔軟に受け止めることが大切です。 

菊本裕三(きくもとゆうぞう)

(株)kikiwell代表取締役キキウェルメンタルヘルスサービス代表カウンセラー。2006年、有料の電話話し相手サービス「聞き上手倶楽部」を創造し世に送り出す。2010年、任意団体だった「聞き上手倶楽部」を(株)kikiwellとして法人化、代表取締役に。自らも代表カウンセラーとして今も現場に立つ。また、カウンセラーの教育機関として一般社団法人日本ライトカウンセリング協会を設立、現在顧問。カウンセラーの育成、セミナー活動にも尽力している。テレビ(ニュース・ワイドショー)・ラジオ・新聞・雑誌などマスコミ出演多数。著書に「相手が思わず心を開く聞く技術」(アスペクト)「だてマスク依存症~無縁社会の入口に立つ人々」(扶桑社)がある。一男一女の父親、無類の釣り好き

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