コラム タイ野菜でべジフルライフ 第85回 ミント(サラネー)

タイ野菜でべジフルライフ

第85回 ミント(サラネー)

スペアミント/オランダハッカ
Spearmint
สะระแหน่ (サラネー)

先月号で暑くなると果物が食べたくなると書きましたが、果物だけでなく、ハーブの存在も気になりますね。スッキリさわやかにさせてくれるハーブや、疲れた体にガツンとくるようなハーブなど、どちらも惹かれます。タイにハーブが多いのも、天候が栽培に適しているというのはもちろんですが、そこに住む人や生き物に必要だからなのかもしれません。それにしても年中生をふんだんに使えるというのは、最高に贅沢なことです。 ハーブというのは、一般的に料理の香りづけやアクセント、防腐効果や薬用効果をねらって料理に飾ったり、ちょっと混ぜる植物というイメージがあります。日本では、高価なものが多いので、余計にちょっとしか使えない気がします。ところがタイでは、ハーブというより野菜かと思おうほどたっぷり使っていてよく驚かされます。どんなにいい香りでもそのまま食べると苦いことの多いハーブ類なのに、タイ料理は見事にその特徴を活かして美味しくアレンジしています。ハーブをたくさん食べるのもまた南国の知恵というものなのでしょう。

 

タイのハーブというと何を思い浮かべますか? パクチー、バジル、ミントあたりが最初に浮かぶのではないでしょうか。今回は、その中からミントを紹介してみます。飾りや香りづけにちょっと使いたくて1 袋買っても、あとは持て余してしまうことが多いのではないでしょうか? 昨年、野菜ソムリのセミナーでとりあげて好評でした。今年度も開催予定ですのでお楽しみに!

 

シソ科ハッカ属のミントは、交雑しやすくとても多くの種類があります。折れた枝を挿し木にするとすぐにつくほど繁殖力が強く、初心者にも育てやすいハーブです。タイで一般的に出回っている「サラネー」は、スペアミントのことです。ペパーミントに比べると葉が大きく縮れが入っていて、ふちに細かい切れ込みがあります。また、刺激が少なめで甘い香りがします。
西洋では、特にラム肉にミントソースという組み合わせが有名です。インド料理でもヨーグルトを混ぜたミントソースがありますし、世界中で古くから親しまれてきました。タイでは東北地方でよく利用され、生でラープやヤムにふんだんに使われています。

 

消臭効果があり、消化不良、吐き気やお腹の張り、下痢などの消化器系の不調をやわらげたり、のどの荒れや咳、鼻詰まりなど呼吸器系にもよく働くと言われます。爽快感があって眠気覚ましになりますが、少量であれば逆に安眠を誘う効果があります。お湯やお茶に生の葉を何枚か入れるだけで香りが出ますし、煮出せばより強い香りが出ます。熱が加わると黒くなるので、水に入れて数時間冷蔵庫に入れておくデトックスウォーターという楽しみ方もあります。飲み物と言えばモヒートが流行りましたね。
葉がピンとしていて黒くなっていないものを選びましょう。保存は、葉をよく洗ってから濡らしたキッチンペーパーに挟んでジップロックなどに入れて密封します。冷蔵庫で2~ 3 週間持ちます。製氷皿に葉と水を半分入れて凍らせ、水を足して再度凍らせるとミント氷のできあがりです。手に取るだけで涼しくなれそうなサラネーをいろいろ楽しんでみましょう!

 

青澤直子

健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road

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