コラム タイ野菜でべジフルライフ 第68回 ドラゴンフルーツ
第68回 ドラゴンフルーツ
ドラゴンフルーツ / ピタヤ
แก้วมังกร(ゲオマンコン)
Dragon fruits / Pitaya
気がつくともう師走。2014 年は、みなさまにとってどのような年でしたでしょうか? 残りわずかな日々、干支の馬のごとく精一杯駆け抜けて、新たな年を気持ちよく迎えたいものです。私も休暇をしっかりいただき、SALADee も27日~1月4日まで休業させていただきますことご了承くださいませ。休暇では、今年3度目のベトナム、北部の世界遺産3ヶ所回ってくる予定です。
ベトナムといってよく思い出すのは、なぜかドラゴンフルーツです。ベトナムには、100年ほど前にフランス人によって伝えられました。タイにも50 年ほど前に入ってきましたが広まらず、20年くらい前にやっと商業栽培されるようになりました。よく目にするようになったのは、その5年後くらいでしょうか。その頃、私の友人がベトナムからのお土産としてタイ人スタッフに配りました。日本の土産かと喜んでいたタイ人が、ベトナムと聞いた途端にな~んだ、じゃあいらないと言いだしたそうで、友人は、ひどくショックを受けたそうです。そんなこともあったのに、今では、まるでタイのフルーツのような顔で売り場に並んでいますね。
とかくドラゴンフルーツは、味がないとかぼやけているとイマイチ人気がありませんでしたが、最近になってスーパーフードだと一部で話題になっているようです。日本でも栽培が始まって生産が増えつつあり、ずいぶんと出世したものだと、なんだかうれしくなります。もっとみんなに親しまれることを願って、今月は、ドラゴンフルーツを紹介します。
中南米原産のサボテン科の植物です。名前の通り、表面が龍の鱗のような不思議な形をしています。味は淡泊なほどで、酸味はあまりなく、ほんのり甘味があり、あっさりして口直しにちょうどいい感じです。果肉は柔らかく、ゴマのような種がちらばっていてプチプチとした食感を楽しめます。多数の品種がありますが、大きく分けると赤い皮で白い果肉のホワイト、皮も果肉も真っ赤で味の濃いレッド( この赤は服につくととれにくい)、果肉が桃色のピンク、皮が黄色く果肉が白いイエロー、小型のミニがあります。タイでよく見るのは、ホワイトとレッドです。
見分け方として、ずっしりと重く皮に張りがあるものがいいでしょう。木の上で熟したものほど甘味があります。採ってしまうと追熟はせず甘味が増すことはないので、新鮮なうちに早めに食べてください。保存する場合は、ビニール袋に入れて野菜室が理想です。
カリウムや葉酸、マグネシウムが豊富ですので、高血圧予防、貧血予防によいとされています。レッドの赤い色はベタシアニンというポリフェノールの一種で、強い抗酸化作用があり、抗がん作用があると言われます。そのまま食べてもいいですが、ジュースやジャムにしてたっぷり食べたり、サラダにして食事に取り入れるのもいいですね。
実も奇妙ですが、枝ぶりもアロエが巨大化して暴れているようなユニークな形です。花は大きさが30センチほどで夜にだけ咲くそうで、観賞用としての人気もあがっています。また、タイでは見かけませんが、新芽や摘花した花芽も食べることができるそうです。新芽はトゲを抜いてサラダに、蕾はタラの芽のようなコクがあるそうで、天ぷらや煮物、炒め物にして食べられるそうです。来年は、タイで花芽をゆずってくれる農家さんを探そうと思います。
青澤直子
健幸料理研究家(野菜ソムリエ&雑穀エキスパート)
健幸料理の店 SALADee
491/14-15 Silom PlazaGF, Silom Road